法人カードの支払いを滞納すると、延滞金が発生したり、信用情報に傷がついたりする可能性があります。最悪の場合、会社や個人の財産が差し押さえられることも。ビジネスの継続に大きく影響するため、事前に滞納のリスクと対処法を知っておきましょう。
この記事では、法人カードを滞納するリスクや延滞時の対処法、予防策を解説します。健全な企業経営のために、ぜひ参考にしてください。
法人カードを滞納するとどうなる?7つのリスク
法人カードを滞納した際に起こり得るリスクとして、以下の7つが挙げられます。
- カード会社から督促の連絡が来る
- 連帯保証人にも督促の連絡が行われる
- 滞納したことが信用情報に記録され、企業評価が下がる
- 法人カードの利用停止・強制解約を受ける
- 延滞料金が発生し続ける
- 訴訟沙汰になる可能性がある
- 会社や個人の財産が差し押さえられる
各リスクを詳しく見ていきましょう。
1. カード会社から督促の連絡が来る
法人カードの支払いが滞ると、カード会社から督促の連絡が来るようになります。
電話での連絡が中心ですが、状況に応じてメールや督促状も送られてきます。督促状は、支払期限や金額、連絡先などが記載された文書です。事態が悪化する前に、指定された期日までに支払いを済ませましょう。
2. 連帯保証人にも督促の連絡が行われる
法人カードの契約時に設定された連帯保証人にも、カード会社から督促の連絡が行われます。法人カードの連帯保証人は法人の代表者や役員であるケースが多いです。
連帯保証人は、会社の支払いを肩代わりする義務を負うため、個人の預金口座や不動産などの資産にまで影響が及ぶ可能性があります。督促の連絡は携帯や自宅の固定電話に来るため、プライベートな時間や家族との時間も中断されかねません。
3. 滞納したことが信用情報に記録され、企業評価が下がる
滞納情報は信用情報機関に登録され、最長5年間記録が残ります。この記録は、銀行やカード会社など多くの金融機関で共有されるため、新規の借入やクレジットカードの作成が難しくなるだけでなく、取引先との関係にも影響するかもしれません。
4. 法人カードの利用停止・強制解約を受ける
滞納が続くと、カードの利用が停止され、最終的には強制解約となります。法人カードが使えないと、仕入れ代金の支払いや経費の決済ができなくなり、事業運営に大きな支障をきたすこともあるでしょう。
資金繰りが厳しい時期こそ法人カードが必要なのに、まさにその時に使えなくなるというのは大きな痛手です。
なお、解約後も支払い義務はなくなりません。期日が来ていない将来の支払いも一括で請求される可能性があるため、注意が必要です。
5. 延滞料金(遅延損害金)が発生し続ける
滞納期間中は、延滞料金(遅延損害金)が発生し続けます。延滞料金は、以下の計算式で算出されます。
遅延損害金 = 元金 × 遅延損害金の年利 × 滞納日数 ÷ 365日 |
年利は、法人カードの場合、14.6%を上限とするケースが多いです。たとえば、100万円の支払いを3ヶ月滞納した場合、約3.6万円もの延滞料金が加算されます。支払いが遅れれば遅れるほど、返済すべき金額は増えていく仕組みです。
6. 訴訟沙汰になる可能性がある
督促や催告を放置していると、カード会社は、返済のために訴訟を起こすことがあります。訴訟手続きが始まると、訴状や支払督促といった書面が届きます。
これに対して2週間以内に応答しないと、請求内容をすべて認めたとみなされるため、注意が必要です。なお、話し合いによっては分割払いに応じてくれるケースがあります。
7. 会社や個人の財産が差し押さえられる
和解交渉が決裂したり、催告を無視し続けていると、会社や連帯保証人の財産が差し押さえられます。
対象となるのは預貯金、不動産、車両などで、事業継続に必要な財産まで差し押さえられる恐れがあるのです。
差し押さえられた財産は売却され、滞納金の返済に充てられます。連帯保証人となっている代表者の個人資産も対象となるため、会社の存続だけでなく、個人の生活基盤も脅かされかねません。
このような事態を避けるためにも、早い段階での対応が重要です。
法人カードの滞納・延滞に気づいた場合の3つの対処法
「支払いが重なって資金が足りない」「残高不足に気づくのが遅れた」など、法人カードの滞納・延滞は様々な理由で起こり得ます。ここでは、法人カードを滞納・延滞した場合の3つの対処法を解説します。
1. カード会社に速やかに連絡する
いかなる理由であっても滞納・延滞が発生したら、まずはカード会社に連絡を入れましょう。単純な残高不足による滞納・延滞であれば、再引き落としの手続きや一時的な支払い方法の変更に応じてもらえる可能性があります。
誠実な対応を心がけ、今後の支払いについての相談をし、事態の悪化を防ぎましょう。
2. 資金調達を行う
支払いの目途が立たない場合は、資金調達を検討するのも一案です。なるべく入金スピードが早い資金調達を検討しましょう。たとえば、ファクタリングであれば、売掛金を即日で現金化でき、審査も比較的通りやすいです。
そのほか、事業者向けローンや請求書買取サービスなど、状況に応じた調達方法を検討することが有効です。
3. 弁護士などの第三者に相談する
滞納額が大きい場合や複数の支払いに困っている場合は、弁護士などの専門家に相談するのも一つの方法です。
弁護士は債務整理の専門知識を持ち、カード会社との交渉も代行してくれます。また、法的な対応が必要になった際のアドバイスももらえるため、問題解決への道筋が立てやすくなります。
法人カードを滞納・延滞しないための予防策
ここでは、法人カードの滞納・延滞を未然に防ぐための予防策を紹介します。
メイン口座を引き落とし口座として設定する
法人カードの引き落とし口座は、普段からチェックしているメイン口座に設定しましょう。
日常的に使用している口座なら残高管理なら残高確認の習慣があり、入金忘れも防げるだけでなく、支払いに必要な資金を計画的に確保しやすくなります。
法人カードの利用限度額を見直す
会社の売上規模や資金繰りに見合った利用限度額に設定することが重要です。必要以上に限度額が高いと、つい使いすぎてしまい、後の支払いが難しくなることもあるでしょう。
反対に、限度額が低すぎると急な支出に対応できなくなります。定期的に事業規模と照らし合わせて適切な限度額を見直しましょう。
支払いスケジュールを把握する
法人カードの締め日と支払日を正確に把握し、カレンダーやスマートフォンのリマインダー機能を活用してしっかり管理しましょう。
とくに複数の法人カードを使用している場合は、それぞれの支払日が異なることも多く、支払いスケジュールの一元管理が欠かせません。
財務状況を定期的にチェックする
月次で売上や経費の状況を確認し、資金繰りの見通しを立てましょう。
大きな支払いがあることを前月のうちに把握できていれば、前もって資金を確保するなどして、延滞を防げます。
とくに、季節変動のある業種では、繁忙期と閑散期の資金繰りにムラが生じやすいため、年間を通じた資金計画が欠かせません。会計ソフトと連携させれば、よりリアルタイムの財務状況を把握できるようになります。
法人カードの滞納・延滞には早めの対策と予防を行いましょう
法人カードの支払いを滞納すると、企業の信用情報に傷がつくだけでなく、最終的には財産の差し押さえにまで発展しかねません。滞納・延滞を防ぐためには、支払い管理体制の整備や財務状況の定期的なチェックが重要です。
また、万が一滞納・延滞してしまった場合は、すぐにカード会社への連絡や資金調達の検討など、早めの対応を心がけましょう。