返済不要の資金調達とは、融資とは異なり、原則として返済義務のない資金を確保する手法の総称です。
企業の資金調達方法は多様化し、Web上には様々な情報が溢れていますが、「誰でも簡単」「即日融資」といった言葉だけを信じ、安易に選択するのは非常に危険です。
比較材料が多岐にわたる中で、各手法のメリット・デメリットを正しく理解しなければ、自社に最適な選択は到底できません。
そこで本記事では、補助金・出資・ファクタリング・クラウドファンディングという4つの返済不要な資金調達方法について、それぞれのメリット・デメリットや成功のコツを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。返済不要の資金調達とは、融資とは異なり、原則として返済義務のない資金を確保する手法の総称です。
企業の資金調達方法は多様化し、Web上には様々な情報が溢れていますが、「誰でも簡単」「即日融資」といった言葉だけを信じ、安易に選択するのは非常に危険です。
比較材料が多岐にわたる中で、各手法のメリット・デメリットを正しく理解しなければ、自社に最適な選択は到底できません。
そこで本記事では、補助金・出資・ファクタリング・クラウドファンディングという4つの返済不要な資金調達方法について、それぞれのメリット・デメリットや成功のコツを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
返済不要の資金調達とは?
返済不要の資金調達とは、金融機関からの融資とは異なり、原則として返済する義務がない資金を得る方法の総称です。
融資が企業の負債となるのに対し、これらの資金は自己資本の増加や資産の現金化にあたるため、貸借対照表(バランスシート)を健全に保ちながら事業資金を確保できます。返済不要の資金調達方法は以下のとおりです。
- 国や自治体からもらう(補助金・助成金)
- 投資家に出資してもらう(出資)
- 不特定多数の個人から支援してもらう(クラウドファンディング)
- 自社の資産を早期現金化する(ファクタリング)
企業の資金調達方法の種類一覧|目的・企業規模に合わせた選び方とは
返済不要で資金調達できる4つの方法
それでは、4つの返済不要の資金調達方法について、それぞれの仕組み、メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
補助金・助成金
補助金・助成金は、国や地方自治体が、特定の政策目標(例:DX推進、脱炭素、雇用促進など)を達成するために、事業の取り組みを金銭的に支援する制度です。
IT導入補助金や中小企業のITツール導入を支援する「IT導入補助金」や、小規模事業者の販路開拓を応援する「小規模事業者持続化補助金」などが代表例として知られています。
補助金・助成金のメリット
補助金・助成金のメリットは以下のとおりです。
- コストを削減できる
- 企業の信頼性向上につながる
- 事業の見直しができる
- 様々な種類がある
補助金・助成金は、返済義務がないため、事業の自己負担を抑え、新規事業や設備投資にかかるコストを削減することが可能です。
また、申請書類を作成する過程で、自社の事業内容や将来性、課題を改めて深く見つめ直すため、事業の棚卸しができるという副次的メリットもあります。さらに、国や自治体の審査を通過した事実は、金融機関や取引先からの信頼性向上にもつながります。
様々な種類の制度の中から自社の目的に合ったものを見つけることで、事業の成長を加速させる力強い後押しとなるでしょう。
補助金・助成金のデメリット
補助金・助成金のデメリットは以下のとおりです。
- 一度、全額を自己資金で立て替える必要がある
- 情報収集に時間と手間がかかる
- 競争率が高く、誰でも受けられるわけではない
補助金・助成金は、原則として事業実施後に経費を一度すべて自己資金で立て替える後払い制であるため、当面の資金繰り改善につながらない点に注意が必要です。
また、制度の種類が多く、内容も複雑なため、自社の事業に合致するものを探し出すだけでも相当な手間がかかります。申請には詳細な事業計画書や多数の添付書類が必要となり、通常業務と並行してこれらの書類を準備することは、担当者にとって大きな負担となるでしょう。
さらに、人気の制度では競争率も高く、準備をしても必ず採択されるとは限らない点について留意しておく必要があります。
出資(エンジェル投資家、VCなど)
出資とは、自社の株式を第三者(投資家)に発行(売却)することで、資金を得る方法です。これをエクイティファイナンスと呼び、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)がその主な担い手となります。
エンジェル投資家は、創業初期の企業に個人資産で出資する投資家で、スピーディーな意思決定が特徴です。一方、ベンチャーキャピタルは、複数の投資家から集めた資金をファンドとして運営する組織で、より成長したスタートアップに対し、大規模な出資を行います。
出資のメリット
出資のメリットは以下のとおりです。
- 多額の資金を調達できる
- 経営サポートを受けられる
出資を受けるメリットは、事業の将来性が評価されれば、融資では困難な多額の資金を調達できる可能性がある点です。これにより、製品開発やマーケティングに大きな投資を行い、事業を急成長させることが可能になります。
さらに、経験豊富な投資家からは、資金だけでなく、経営に関するアドバイスや取引先の紹介といった貴重な経営サポートを受けられる場合も多く、事業の成功確率を高めることができます。
出資のデメリット
出資を受けるデメリットは、経営の自由度が失われる可能性がある点です。投資家は株主として、経営方針に意見する権利を持ちます。
資金調達を急ぐあまり、安易に株式を渡しすぎると、将来的に「自分の会社なのに、やりたいことができない」という事態に陥りかねません。出資は、返済不要な一方で、会社の所有権を共有するという、重い決断であることを理解しておく必要があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて、不特定多数の個人から少額ずつ資金を集める方法です。製品やサービス、あるいは事業のビジョンに共感した支援者から、資金を募ります。
いくつか種類があり、返済不要のクラウドファンディングには、主に見返りを求めない「寄付型」と、製品やサービスを対価として提供する「購入型」があります。日本の多くのプロジェクトは「購入型」です。
クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングのメリットは以下のとおりです。
- 過去の実績ではなく、アイデアと将来性で評価される
- 発売前のテストマーケティングと、高いPR効果を両立できる
- 将来の優良顧客となり得る、熱量の高いファンを獲得できる
クラウドファンディングのメリットは、銀行や投資家が重視する過去の実績がなくても、アイデアや将来性だけで評価され、資金調達に挑戦できる点です。
また、プロジェクトを通じて、製品発売前に市場の反応を見るテストマーケティングと、多くの人の目に触れる高いPR効果を両立することもできます。さらに、単なる支援者ではなく、事業の成功を共に願う熱量の高いファン(将来の優良顧客)を獲得できることも、他の資金調達方法にはない大きな魅力と言えるでしょう。
クラウドファンディングのデメリット
クラウドファンディングのデメリットはいかのとおりです。
- All In方式は、目標未達だと赤字になるリスクがある
- プロジェクト掲載とは別に、継続的なPR活動が不可欠である
- プラットフォームに手数料を支払う必要がある
- プロジェクトを公開することで、アイデアが模倣される可能性がある
- 一度公表したリターンや計画は、原則として変更できない
プロジェクトの資金調達方式には注意が必要です。特に「All In方式」は、目標金額に達しなくても集まった資金を受け取れる一方、リターン(製品やサービス)を提供する義務は残ります。そのため、支援額が製造コストを下回った場合、赤字になってもプロジェクトを遂行しなければいけません。
また、プラットフォームにプロジェクトを掲載しただけで、自動的に支援が集まるわけではありません。SNSでの発信や広告など、継続的なPR活動が不可欠であり、そのための時間と労力は相当なものになります。
さらに、不特定多数にアイデアを公開するという性質上、製品化される前にアイデアが模倣される可能性や、一度公表したリターンや計画は、支援者との約束であるため原則として変更できない点も留意しておく必要があります。
ファクタリング
ファクタリングは、売掛債権(請求書)をファクタリング会社に売却することで、取引先からの入金を待たずに、最短即日で現金化する方法です。
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ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットは、以下のとおりです。
- 負債を増やさずに、運転資金を確保できる
- 申し込みから入金までの時間が短い
- 信用情報機関に記録が残らない
- 赤字決算や税金滞納があっても、申し込みできる
ファクタリングのメリットは、申し込みから入金までが早く、最短即日で運転資金を確保できるその圧倒的なスピードにあります。これは、ファクタリングが融資ではなく、請求書という資産の売却であるためです。そのため、負債を増やさずに資金繰りを改善でき、その取引は信用情報機関に記録が残ることもありません。
自社の経営状況より売掛先の信用力が重視されるため、赤字決算や税金滞納がある場合でも申し込める、経営者にとって心強い資金調達手段と言えるでしょう。
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ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットは、以下のとおりです。
- スピードを優先する分、コストは高くなる
- 売掛金の額以上の、大規模な資金調達には向かない
- 契約によっては、債権譲渡登記が求められる
- 3社間ファクタリングでは、売掛先への通知・承諾が必須
銀行融資の金利と比べ、スピードを優先する分、手数料が割高になる傾向にあります。また、あくまで保有する請求書の範囲内での資金化のため、売掛金以上の大規模な設備投資などには向いていません。
契約形態によっては、取引先に資金繰りの状況を知られてしまう「3社間ファクタリング(売掛先への通知・承諾が必須)」しか選べなかったり、取引が登記情報として公開される「債権譲渡登記」が求められたりする場合があることも、事前に考慮しておくべきでしょう。
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自社に合った返済不要の資金調達方法の選び方
どの方法が適しているかは、企業のステージや資金調達の目的によって異なります。
- 創業期のアイデアを形にしたい場合:クラウドファンディング、エンジェル投資家からの出資
- 特定の設備導入や研究開発を行いたい場合:補助金・助成金
- 数千万円単位で事業の急成長を目指すスタートアップ:ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
- 急な資金繰りの悪化に対応したい場合:ファクタリング
このように、自社の「目的(何のためにお金が必要か)」と「状況(どれくらい時間的猶予があるか)」を明確にすることで、最適な資金調達方法は自ずと見えてきます。
返済不要の資金調達を成功させるためのポイント
どの資金調達方法を選ぶにせよ、成功させるために以下のポイントを押さえて臨みましょう。
1. 相手の評価基準と相場観を徹底的にリサーチする
資金の出し手(国、投資家など)が、何を評価し、どのようなリターンを求めているのかを徹底的に理解することが不可欠です。
例えば、補助金であれば公募要領や過去の採択事例を読み込み、担当者に響くように事業計画を練り込む必要があります。出資であれば、投資家の投資実績や興味のある分野、発言などを調べ上げた上で、相手の「投資したい」という気持ちを引き出すアプローチが求められるでしょう。
相手の評価基準に合わせた提案を準備することが、資金調達の成功確率を高めます。
2. 事業計画の懸念点を予測し、先回りして対策を立てておく
資金調達の面談や審査において、よくありがちなのが「この事業は必ず成功します」「リスクはありません」といった、自社の強みや将来性といったポジティブな側面だけをアピールすることです。
しかし、経験豊富な審査員や投資家は、その事業に潜むリスクを鋭く見抜きます。「事業リスクを客観視できていない」「計画が楽観的すぎる」と見なされ、信頼を得ることは難しいでしょう。
事業計画に潜む懸念点を自ら正直に提示し、それに対して「どのような対策を準備しているか」をセットで説明することが重要です。
【想定される懸念点の例】
- 競合の優位性:「もし、大手の競合が同様のサービスを開始したら?」
- 技術的な課題:「この技術は、本当に実現可能ですか?」
- 人材確保:「計画遂行に必要な専門人材は、どうやって採用しますか?」
3. 資金調達方法の選択肢を複数用意しておく
一つの資金調達方法に固執せず、複数の選択肢を同時に検討することが、交渉を有利に進める上で重要です。
「この補助金がダメだったら、あのVCにアプローチしよう」「出資交渉と並行して、当面の運転資金はファクタリングで確保しておこう」など、複数のプランを準備しておくことで、精神的な余裕が生まれます。
一つの交渉に固執して、不利な条件を飲むといったリスクを避けることができます。
4. 専門家のサポートを戦略的に活用する
返済不要の資金調達は、それぞれ高度な専門知識を要します。補助金の複雑な申請書作成を社会保険労務士や行政書士に依頼したり、投資家との面談に資金調達コンサルタントに同席してもらったりと、専門家の力を戦略的に活用しましょう。
専門家という第三者の視点を入れることで、自社だけでは気づけないアピールポイントや、交渉の落としどころが見えてくることがあります。
複雑な資金調達の悩みは「Bankme」で専門家に無料相談
ここまで解説してきたように、返済不要の資金調達方法は、それぞれ専門性が高く、手続きも複雑です。「どの方法が自社に最適か分からない」「申請書類の作り方が分からない」といった悩みを抱える経営者様は少なくありません。
当サイトを運営するクラウド資金なびでは、そんな複雑な資金調達のお悩みを、元金融機関出身者などのプロに無料で相談できるサービス「Bankme」を提供しています。
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返済不要の資金調達に関する質問
ここでは、返済不要の資金調達に関する質問に回答します。
SNSなどで見かける「返済不要の融資」とは何ですか?安全ですか?
安全ではありません。詐欺か、違法な闇金融である場合がほとんどです。
TwitterやInstagramなどで「#個人融資」「#即日融資」「#返済不要」といったハッシュタグで勧誘しているアカウントは、正規の貸金業者ではありません。個人情報を抜き取る、法外な手数料を請求する、犯罪に加担させるといった目的の極めて危険な存在です。
この記事で紹介しているような、国や正規の企業が提供する制度・サービスとは全くの別物ですので、絶対に関わらないでください。
個人事業主でも、返済不要の資金調達は可能ですか?
個人事業主やフリーランスの方でも、返済不要の資金調達は可能です。
例えば、個人事業主を対象とした「小規模事業者持続化補助金」や、請求書があれば利用できる「ファクタリング」、個人のアイデアを形にする「クラウドファンディング」などの選択肢があります。
まとめ:返済不要の資金調達は手間はかかるが、事業の可能性を広げる選択肢
今回の記事では、返済不要の資金調達について、4つの主要な方法と成功のためのコツを解説しました。
繰り返しになりますが、最適な資金調達を実現するには、自社の事業ステージと資金調達の目的を、経営者自身が深く理解していることが大切です。どれほど多くの知識を得たとしても、その視点がないままでは、自社に合わない方法を選択し、かえって経営の足かせとなるリスクがあるからです。
経営者に求められるのは、各資金調達方法のメリット・デメリットを正しく理解し、自社の未来像から逆算して、今どの選択肢が最適かを判断する戦略的な視点です。
もし、その判断に迷ったり、より専門的なアドバイスが必要だとお考えの方は、当社の無料相談サービス「Bankme」をご活用ください。元金融機関出身者などのプロが、中立的な立場で貴社の資金調達戦略をサポートします。
 
                   
                   
    						  						   
    		