「資金繰りの相談は誰にすればいい?」「相談前に準備することはある?」とお悩みの方もいるでしょう。資金繰りの相談ができる窓口は複数あるため、それぞれの特徴を把握して活用することが大切です。
この記事では、資金繰りの相談窓口一覧や、相談できる内容を紹介します。また、相談先の選び方や、相談前に準備すべきことも解説。自分に合った相談先を見つける参考にしてみてください。
資金繰りの相談をすぐに検討すべき企業の特徴
日々の資金繰り管理は、すべての企業にとって重要です。しかし、中には放置すると手遅れになりかねない危険な兆候が出ているケースもあります。
「まだ大丈夫」と思っていても、実は専門家への相談が急務かもしれません。ここでは、資金繰りの相談をすぐに検討すべき企業の特徴を解説します。
どんぶり勘定でお金の流れを正確に把握できていない
社長自身が会社の預金通帳の残高を今すぐ正確に言えなかったり、資金繰り表を作成しておらず、なんとなくでお金が回っていると感じている状態は危険です。
売上は上がっているはずなのに、なぜか手元にお金が残らないという感覚がある場合、無自覚のうちに黒字倒産へと向かっている可能性があります。専門家は、まず「お金の見える化」からサポートを始めます。
借入金の返済が経営を圧迫している
毎月の借入返済額が大きく、生み出した利益のほとんどが返済に消えていく状態は、危険なサインです。
特に、返済資金を捻出するために、新たな借入を検討している場合は自転車操業に陥っており、いずれ経営が破綻するリスクが高いです。
専門家は、実現可能な経営改善計画の策定を支援し、金融機関との返済条件の変更交渉をサポートしてくれることもあります。
売掛金の入金サイトが長く、支払いが先行している
建設業や製造業、IT業界などでよく見られますが、取引先の入金が数ヶ月先であるにもかかわらず、仕入れ先や外注費への支払いが先に発生し、入金と出金のタイミングに大きなズレがある状態です。
大口の案件を受注して売上は立ったものの、先行する支払いのために手元の現金がむしろ減っているというケースは、黒字倒産の典型的なパターンです。
売上や利益が急激に変動・悪化している
赤字が慢性化している状態はもちろんのこと、大口取引先の喪失や原材料の急激な高騰など、明らかな経営環境の悪化に直面している場合も、早期の相談が必要です。
経営状況が悪化してからでは、打てる手が限られてしまいます。状況が悪化し始めた初期段階で相談することで、より多くの選択肢の中から、ダメージを最小限に抑える最適な改善策を見つけることができます。
資金繰りの相談ができる窓口
資金繰りの相談先は、無料で利用できる公的機関から、有料で専門的な支援を行う民間の専門家まで多岐にわたります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合った窓口を選びましょう。
商工会議所・商工会
商工会議所・商工会は、地域経済の活性化を目的とした公的団体で、事業者にとって身近な経営相談窓口の一つです。
無料で経営指導員に相談でき、資金繰りの基本的な考え方から、記帳指導、国や自治体の補助金・助成金の紹介まで、幅広くサポートしてくれます。まずは現状を整理したい場合の最初の相談先として最適です。
よろず支援拠点
国が全国の商工会議所などに設置している、中小企業・小規模事業者のための無料の経営相談所です。
資金繰りに限らず、売上拡大、IT活用、人事労務など、経営上のあらゆる悩みを、各分野の専門家がワンストップで対応してくれます。「どこに相談して良いか全く分からない」という場合に訪れたい総合相談窓口です。
信用保証協会
中小企業が金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人となってくれる機関です。
直接的な融資相談だけでなく、「どうすれば保証を受け、融資審査を通過できるか」といった、経営改善に関するアドバイスも受けられます。
日本政策金融機関
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関です。特に創業相談や、個人事業主・小規模事業者向けの融資に強く、民間金融機関では融資が難しいケースでも、事業の将来性を評価して積極的に支援してくれます。
融資の申し込みと合わせて、事業計画の立て方など経営に関する相談も可能です。
取引のある金融機関
追加融資や返済条件の変更など、最も直接的な資金繰り改善の相談ができる相手です。
日頃から良好な関係を築き、定期的に経営状況を報告しておくことが、いざというときの相談をスムーズにします。
税理士・公認会計士
税理士・公認会計士は、企業の財務状況を深く理解している専門家です。特に顧問契約を結んでいる場合は、決算書や試算表に基づいた具体的な資金繰り改善のアドバイスが期待できます。金融機関に提出する書類の作成支援も得意分野です。
資金調達コンサルタント
資金調達コンサルタントは、融資や補助金、出資など資金調達そのものに特化したコンサルタントです。金融機関の動向や審査のポイントを熟知しており、事業計画書の作成から面談対策まで、資金調達が成功するまでの全プロセスを支援します。
経営・財務コンサルタント
資金繰りの改善だけでなく、事業戦略や業務効率化など、経営の抜本的な改革をサポートする専門家です。課題が根深く、財務と事業の両面からメスを入れる必要がある場合に、強力なパートナーとなります。
資金繰りを専門家に相談する5つのメリット
資金繰りの課題に経営者一人で取り組むことももちろん可能です。しかし、日々の業務と並行して、複雑な財務状況の分析や金融機関との交渉を行うのは容易ではありません。
専門家への相談は費用がかかる場合もありますが、それを上回るメリットがあります。ここでは、資金繰りを専門家に相談することで得られる5つのメリットを紹介します。
経営状況を客観的に把握できる
経営者は、無意識のうちに自社の状況を主観的に、ときには希望的に見てしまいがちです。
専門家に相談することで、財務諸表などの客観的なデータに基づいた第三者の的確な評価を得られます。自社では気づけなかった本当の課題や、資金繰りの根本的な原因が明らかになれば、より効果的な次のアクションを考えることができるでしょう。
具体的で実現可能な改善策が見つかる
会社の資金繰りを改善する方法は数多くあり、その中から自社に合った解決策を探すには、多くの労力がかかります。それにどの方法が本当に有効なのか、一人では判断が難しいこともあるでしょう。
専門家を利用することで、多くの企業を再生させてきたプロの目線で、自社に最適な改善策を提案してもらえるのがメリットです。
また専門家は、一般には知られていない補助金や、特定の条件下で有利になる融資制度などの情報を持っている場合があります。専門家を通すことで、自社だけではたどり着けなかった、より良い条件での資金調達が可能になるのです。
金融機関からの信頼性が向上する
専門家を介して提出された事業計画書や資金繰り表は、金融機関から「プロのチェックが入った客観的な計画」と見なされやすくなります。経営者一人で作成した計画書によくある、希望的な予測や根拠のあいまいな数字がなくなるためです。
専門家が関わることで、書類の信頼感が増し、結果として審査に通りやすくなるでしょう。
黒字倒産のリスクを回避できる
帳簿上は利益が出ている(黒字)にも関わらず、手元の現金が不足して支払いができなくなり倒産してしまうのが黒字倒産です。
これは、売掛金の入金サイトが長いビジネスなどで起こりやすく、経営者自身が気づきにくい危険なサインです。専門家は、資金繰り表を分析することで、この潜在的なリスクを早期に発見し、手遅れになる前に対策を打つことができます。
資金繰りの悪化を招く5つの要因 | 改善方法もわかりやすく解説
経営者自身の金融知識が向上する
専門家への相談を通じて得られるメリットの一つが、経営者自身の財務リテラシーが向上することです。
専門家は単に解決策を示すだけでなく、なぜその改善策が必要なのかを、資金繰り表や試算表といった具体的な数字を使って説明します。
これにより、経営者は自社の金の流れを深く理解できるようになり、将来的な資金繰りの悪化を未然に防ぐ目を養うことができます。
精神的な負担が軽減され、本業に集中できる
資金繰りの悩みは、経営者に精神的負担を与え、事業そのものへの集中力を奪います。「このままで大丈夫だろうか」という漠然とした不安は、日々の経営判断を鈍らせる原因にもなりかねません。
専門家に相談し、課題解決への道筋が明確になることで、その精神的なプレッシャーが軽減されます。
自社に合った資金繰り相談先の選び方
資金繰りを相談するにしても、相談先によって専門分野や特徴が異なります。自社に合った資金繰り相談先を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしてみてください。
自社の事業ステージや規模に合っているか
相談先を選ぶ際は、自社の事業ステージと規模を基準にすると、ミスマッチを防げます。創業期の「事業計画の作り方が分からない」という悩みと、成熟期の「複数の借入金を一本化したい」という悩みでは、解決策が全く異なります。
公的機関の多くは創業期や小規模事業者の支援を得意としており、民間のコンサルタントは、より複雑な経営課題に対応できる傾向があります。自社の現状に合った相談先を選びましょう。
相談内容に対する専門性と実績があるか
資金繰りの相談と一口に言っても、その内容は「創業融資」「補助金申請」「経営改善」など多岐にわたります。自社が相談したい内容を明確にし、その分野での具体的な成功実績が豊富な相談先を選びましょう。
また実績の数だけでなく、質も重要です。担当者と話す中で、自社の課題の本質を理解しているか、具体的な解決策を提示できるかを確認してください。
料金体系とサポート範囲が明確か
専門家への相談を検討する際は、料金体系とサポート範囲が明確であるかの確認も重要です。
- どこまでが無料で、どこからが有料なのか
- 成功報酬はいつ発生するのか
後々のトラブルを避けるため、契約前に必ず書面で確認しましょう。料金や費用に見合ったサポートが受けられるかを慎重に判断し、納得した上で契約に進むことが大切です。
資金繰りの相談・解決をスムーズに進めるために準備すべきこと
資金繰りに関して専門家に相談する際は、効果を高めるために準備しておきたいことがあります。以下5つの点を押さえて資金繰り相談に臨みましょう。
資金繰り表を用意する
資金繰り相談をする際は、資金繰り表を事前に用意しておくことをおすすめします。資金繰り表を整理することで、「いつ、いくら、なぜ資金が不足するのか」現状の課題を正確に把握できます。
専門家も資金繰り表をもとに具体的な改善策を検討するため、相談をスムーズに進める上で不可欠な書類です。
試算表・決算書(直近3期分)をまとめておく
資金繰りの相談では、試算表と決算書も必ず用意してください。資金繰り表が「現金の流れ」を示すのに対し、試算表・決算書は「会社の利益や資産の全体像」を示します。
両方を合わせて見ることで、専門家はより多角的に経営状況を分析でき、融資の提案など、より踏み込んだアドバイスが可能になります。
相談のゴールを明確にしておく
なぜ専門家に相談するのか、何を達成したのか、ゴールをあらかじめ明確にしておきましょう。ゴールが定まっていないと、様々なアドバイスを受けるうちに論点がずれてしまい、「結局何が課題だったのか」が分からなくなってしまう恐れがあります。
もしゴール設定が難しい場合は、「まずは現状の財務課題を整理したい」といった相談から始めるのも良いでしょう。
これまでの経緯と現状の課題を簡潔にまとめておく
相談当日までに、これまでの経緯と現状の課題を時系列などで簡潔にまとめておきましょう。相談できる時間は限られているため、事前に情報を整理しておけば、効率的に時間を使えるだけでなく、伝えるべき内容の抜け漏れも防げます。
「いつから資金繰りが厳しくなったのか」「これまでどんな対策を打ってきたのか」などを書き留めておくと、話がスムーズに進みます。
「Bankme」は多様な専門家への相談が可能
資金繰りの課題は、融資、補助金、経営改善など多岐にわたるため、一つの専門家だけでは解決できないこともあります。
「Bankme」なら、元銀行員、補助金コンサル、財務コンサルタントといった、多様な経歴を持つ専門家ネットワークの中から、貴社の課題に最適なプロを見つけることができます。
複数の専門家の意見を聞きながら、最も納得できる解決策を探せるのがBankmeの強みです。まずはお気軽にご相談ください。
まとめ:一人で悩まず専門家に相談し、資金繰りの課題を解決しましょう
会社の資金繰りを考え始めたら、各相談窓口を活用しプロの意見を取り入れてみましょう。企業のステージや財務状況、経営者が目指すゴールは一社一社異なります。また、融資や補助金など、資金調達の方法によって準備すべきことや審査のポイントも変わるため、状況に合った対策をとることが大切です。
資金繰りの改善方法が分からなかったり、誰に相談すべきか判断できなかったりする場合は、専門家への相談を検討することをおすすめします。
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