資金繰りの悪化や予想外の売上減少によって、外注費の支払いが難しくなることは企業経営において起こりうることです。しかし、支払いを滞らせると様々なリスクがあります。
本記事では、外注費を払えない場合に起こる4つのリスクや、未払いを防ぐための対策などを紹介します。ぜひ参考にしてください。
外注費を払えないと起こる4つのリスク
業務の一部を委託して発生した外注費は当然、外部企業や個人に支払わなければいけません。しかし、外注費の支払いが滞ると、様々なリスク・悪影響があります。以下で、外注費を払えないと起こる4つのリスクを見ていきましょう。
支払いが割高になる
外注費の支払いが遅れると、支払いが割高になります。支払い遅延によって発生する遅延損害金によって費用が積み上がっていくからです。
また、未払いが継続すると、督促状の発送費や弁護士費用などの間接コストも加わります。さらに、相手が法的手段に訴えた場合、訴訟費用や和解金なども必要になるため、当初の支払額を大きく上回る出費となることも珍しくありません。
法的トラブルに巻き込まれる
支払いが長時間滞ると、外注先から法的措置を取られるリスクが高まります。初めは穏やかな催促から始まりますが、対応が遅れると内容証明郵便や支払督促、訴訟提起といった段階に進展することがあります。
支払督促では、異議を申し立てなければ確定判決と同じ効力が生じ、口座差押えなどの強制執行の対象となる可能性もあるため注意が必要です。
業界での評判・社会的信用が下がる
外注費の未払いは、業界での評判や社会的信用を下げるリスクもあります。同業者間のネットワークが強い業界では、「支払いが悪い会社」という情報はあっという間に広がるでしょう。
こうしたレピュテーションリスクによって企業イメージが悪化すると、新たな外注先を見つけることが難しくなり、既存の取引先からも敬遠され、収益の減少につながる恐れがあります。
事業が立ち行かなくなる
外注費を払えない状況が続くと、自社のビジネスそのものが立ち行かなくなるリスクがあります。
重要な業務を外注先に依存している場合、支払いの滞りにより作業の中断や納品の拒否などが発生すれば、自社の商品・サービスの提供に直接影響するでしょう。売上の減少や信用の低下から、事業の存続そのものが危うくなります。
外注費の支払期日は60日以内に
外注費の支払いに関しては、下請法(下請代金支払遅延等防止法)において、親事業者は発注した物品やサービスを受領した日から、起算して60日以内に下請代金を全額支払わなければいけません。
外注費を払うのが遅れると、罰則の対象にもなり得ます。自社の資金繰りが厳しい場合でも、この法定期限を念頭に置いた支払い計画を立てることが重要です。
外注費を払えない状況が起こるのはなぜ?
外注費の支払いが難しくなる状況は、一見すると単なる資金不足の問題のように思えますが、実際には様々な要因が絡み合っています。
企業規模を問わず起こりうる問題なので、根本的な原因を把握し、対策を講じることが大切です。以下で、外注費を払えない状況に陥りやすい主な理由を見ていきましょう。
予想外の売上減少に見舞われた
計画していた売上が落ち込むと、外注費の支払いに影響が出ることがあります。大口顧客の突然の契約解除や発注キャンセル、市場環境の変化による全体的な需要減少などが原因として挙げられるでしょう。
会社に入ってくるお金が少なくなるため、外注費など支払いに充てる資金も不足しています。
取引先の入金遅延が発生した
自社は請求書を発行しているのに、肝心の取引先からの入金が遅れると、外注先への支払いにも支障をきたします。取引先が入金を忘れていたり、お金の都合が悪くて支払いを先送りにしていたりすると、自社の資金計画が大きく狂ってしまいます。
入金が遅れれば、予定していた支払いの流れも乱れ、外注先へのお金も払えなくなります。
特に中小企業や個人事業主は、大きな会社との取引で「相手からのお金は2カ月後に入るのに、自分は外注先に1カ月以内に払わないといけない」という板挟み状態になりがちです。
運転資金の余裕がなかった
日々の業務に追われて「手元資金はあとどれくらい持つか」という視点が欠けていると、突然の支払いに対応できなくなります。
売上が減少したり、取引先の入金が遅れていたりしても、運転資金が十分に確保されていれば、一時的な資金不足を乗り切ることができます。
しかし、キャッシュフローの状況をしっかり管理していないと、気づいたときには資金がショートしている事態に陥りかねません。特に成長期の企業は売上が伸びても、それに伴い外注費などの支出も増加するため、手元資金が追いつかないことがよくあります。
外注費の未払いを防ぐためにやっておくべきこと
外注費を払えないリスクは、事前の備えで減らすことが可能です。ここでは、外注費の未払いを防ぐためにやっておくべきことを紹介します。
キャッシュフローを見える化する
外注費の未払いを防ぐためには、キャッシュフローを見える化することが大切です。キャッシュフローが把握できていないと、利益は出ているのに手元資金が足りないという状況に陥りがちです。
売上と利益だけでなく、実際にいつお金が入金され、いつ支出されるのかという現金の流れを正確に把握することが重要なのです。
そのため、外注費の支払いタイミングを明確にしましょう。月ごとの売上予測と支出計画を立て、大きな外注費が発生する月は事前に資金を確保しておくことが必要です。
外注契約時に支払条件を明確にする
「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも、必ず書面やデータで契約を交わしましょう。契約書には金額や支払い期日、支払い方法などの条件を明記し、追加作業が発生した場合の取り扱いも事前に決めておくことが大切です。
また、相見積もりを取るなど、適正な費用かどうかの判断材料も持っておきましょう。
予算に余裕を持たせる
外注費は想定より膨らむことがよくあります。当初の見積もりに対して10〜20%程度の予備費を確保しておくと安心です。
初めての業務や規模の大きなプロジェクトでは、予測できない追加コストが発生しやすいため、余裕を持った予算設定を心がけましょう。
支払い管理システムを導入する
多くの外注先と取引がある場合、手作業で管理していると支払い忘れや遅延が起きやすくなります。
支払い管理システムを導入することで、支払いに関する情報を一元で管理でき、支払い状況を正確に把握できるようになります。
日頃から外注先との良好な関係を築いておく
外注先と良い関係を保っていれば、もしも支払いが遅れてしまった時にも、支払いスケジュールや支払い方法の見直しに応じてくれるかもしれません。
仕事の進み具合を共有したり、納品された成果物にしっかりとコメントを返したりすることで、信頼関係が深まっていきます。
また、いつも約束通りに支払いを行うことで信用を積み上げておけば、万一の時に「今回だけ少し待ってほしい」とお願いしても、柔軟に対応してもらえる可能性が高まるでしょう。
緊急時の資金調達先を確保しておく
急な収支悪化や想定外の支出で支払資金が不足した場合に備え、緊急時の資金調達手段を事前に確保しておくことが重要です。銀行やビジネスローン、ファクタリングなど、状況に応じて活用できる資金調達手段が複数あります。
資金調達には審査など時間がかかるケースが多いため、支払いに困った時点で慌てて探すのではなく、普段から関係構築と情報収集を行っておくことが肝心です。
なお、ファクタリング一括申込サービス「Payなび」では、一度申し込むだけで複数のファクタリング会社に同時に審査依頼ができます。事前に登録しておけば、いざという時にすぐに手続きを進められ、最短で当日中に資金を調達することが可能です。
外注費が払えない時は「請求書カード払い」の利用がおすすめ
一時的なお金が足りてなくて外注費が払えないとき、請求書カード払いを使うと便利です。
請求書カード払いとは、本来銀行振込で支払う予定の請求書をクレジットカードで決済できるサービスです。手元の現金がなくても、外注先への支払いを行うことができます。
「カード払いくん」なら、お手持ちのクレジットカードで外注先への支払いができ、実際にお金が引き落とされるのは最大60日後まで延ばせます。
申込も、WEB手続きにより最短60秒で完了。取引先には普通の銀行振込と同じように入金されるので、カード払いを使っていることは知られません。
外注費の支払いに関するよくある質問
ここでは、外注費の支払いに関するよくある質問に答えていきます。
Q1: 契約書なしで外注を依頼した場合、支払い義務はありますか?
契約書がなくても、口頭での合意や発注メール、納品物の受領など、取引の事実があれば支払い義務は発生します。法律上、契約は必ずしも書面である必要はなく、口頭でも成立するのが原則です。
ただし、金額や納期、作業内容などの条件が曖昧だと後々トラブルになるリスクが高まります。契約書がない場合でも、メールのやり取りや発注書、納品書などで取引の証拠を残しておくことが重要です。
Q2:インボイス制度による外注費への影響は?
インボイス制度の導入により、適格請求書発行事業者でない外注先からの請求に対しては、原則として仕入税額控除ができなくなりました。インボイス登録をしていない個人事業主などへの外注費は、税負担が増加する可能性があります。
2029年9月までは経過措置があり、一定割合の控除は可能ですが、段階的に縮小していきます。外注先には適格請求書発行事業者の登録を促すか、税負担増加を考慮した料金交渉を検討するとよいでしょう。
外注費の未払いに備えて、請求書カード払いを検討しましょう
外注費が払えない状況になったときに大切なのは、その危機を乗り切る方法を事前に考えておくことです。資金繰りに不安を感じる気持ちは理解できますが、まずは落ち着いて、キャッシュフローの見える化や支払い管理の徹底など基本的な対策を行いましょう。
どうしても一時的に資金が足りない場合は、請求書カード払いの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
「カード払いくん」なら、手続きは最短60秒のWEB完結で、最大60日支払いを延ばせるうえ、外注先には通常の振込として入金されるので、関係悪化も防げます。外注費の支払いトラブルを避けるための選択肢として、ぜひご検討ください。