請求書カード払いは、取引先から受け取った請求書の支払いをクレジットカードで決済できるサービスです。支払いを先延ばしにできる、カードポイントが貯まるなどのメリットがある一方で、いくつかの制約やデメリットも存在します。
この記事では、請求書カード払いを利用する際に知っておくべき5つのデメリットや、9つのメリット、クレジットカードの選び方、おすすめのサービスなどを紹介します。
請求書カード払いとは
請求書カード払いは、事業者が取引先から受け取った請求書の支払いをクレジットカードで決済できるサービスです。
通常、請求書払いは銀行振込で行いますが、請求書カード払いを利用すると自社のクレジットカードで決済でき、サービス事業者が取引先へ振込を代行します。
取引先がクレジットカード決済に対応していなくても利用でき、支払いを最大60日程度先延ばしにできるため、資金繰りの改善や支払い業務の効率化に役立ちます。
請求書カード払いのデメリット5つ
請求書カード払いは、資金繰りが改善できるメリットがある一方で、デメリットも存在します。デメリットも把握して、請求書カード払いを利用しましょう。
1.クレジットカードの利用可能枠を超える決済はできない
請求書カード払いは、クレジットカードを使った決済なので、クレジットカードの利用可能枠が上限です。
高額な仕入や経費の支払いが必要な場合、クレジットカードの限度額を超えてしまうと利用できません。事業規模に対してカードの限度額が小さい場合は注意が必要です。
2.長期間の支払い延長には対応していない
請求書カード払いで支払いを先延ばしできる期間は、最大でも60日です。請求書カード払いは、カード会社の締め日と引き落とし日の仕組みを利用したサービスであるため、それ以上の長期間にわたる資金繰り対策としては活用できません。
慢性的な資金不足や長期的な運転資金の調達が必要な場合は、融資など他の資金調達方法を検討する必要があります。一時的な資金繰り改善策としての利用にとどめましょう。
3.一部のサービスでは個人事業主が利用できないことがある
請求書カード払いサービスの中には、法人のみを対象としており、個人事業主が利用できないものもあります。サービスを選ぶ際には、利用対象者の条件を必ず確認しましょう。
4.一部のクレジットカードが非対応であるケースがある
請求書カード払いサービスによって、対応しているクレジットカードのブランドや種類が異なります。
主要な国際ブランド(VISA、Mastercard、JCB)には対応していることが多いですが、アメリカン・エキスプレスやダイナースクラブなどには対応していないサービスもあります。利用前に自分が持っているカードが使えるかどうか確認しましょう。
5.支払いは先延ばしされるだけで免除されるわけではない
請求書カード払いは、あくまで「支払いを先延ばしにする」だけであり、支払い義務がなくなるわけではありません。一時的に資金繰りが改善したように見えても、カードの引き落とし日には請求金額に手数料を加えた金額を支払う必要があります。
計画性なく使い続けると、後々の負担が大きくなり、かえって資金繰りを悪化させる可能性もあります。支払い延長期間中に売上を立てるなど、計画的な利用を心がけましょう。
請求側(売り手)にとって請求書カード払いのデメリットはある?
請求書カード払いは基本的に支払い側のためのサービスであり、請求側(売り手)にとっては特別なデメリットはありません。
請求書カード払いを利用しても、請求側には、通常の銀行振込と同じように、指定した口座に指定した金額が入金されます。売り手側は支払い側がどのような方法で決済しているかを知ることもなく、請求書の発行方法や入金確認の手順も従来通りです。
むしろ、支払い側の資金繰りが改善されることで、支払い遅延のリスクが減少するというメリットもあるため、請求側にとってデメリットはないと言えるでしょう。
請求書カード払いのメリット9つ
請求書カード払いを活用することで、ビジネスの資金繰りや支払い業務が大きく改善します。主なメリットを詳しく見ていきましょう。
1.支払いを先延ばしにして、資金繰りを改善できる
請求書カード払いのメリットは、支払いを最大60日程度先延ばしにできることです。通常、請求書払いでは締め日から約30日以内に支払いが必要ですが、カード決済にすることで引き落とし日までの期間が生まれます。
この間に売上を立てたり、他の入金を確保したりすることで、一時的な資金不足を乗り切れるでしょう。支払いが集中する時期や、大きな出費が重なったときの資金繰り対策として効果的です。
内部リンク「資金繰り改善 クレジットカード」
2.取引先がカード決済に対応していなくでも利用できる
請求書カード払いは、取引先がカード決済に対応していなくても利用できます。
BtoB取引ではまだカード決済に対応していない企業が多いのが現状です。請求書カード払いサービスでは、支払い側が申請するだけで利用でき、請求側の特別な手続きや対応は不要です。
取引先の決済環境に左右されることなく、自社の判断だけで利用できる点はメリットといえるでしょう。
3.審査や手続きがシンプル
請求書カード払いは、銀行融資などと比べて審査や手続きがシンプルである点もメリットです。多くのサービスでは、審査なしで即日から利用できるものもあります。申込はオンラインで完結し、複雑な書類提出や面談も必要ありません。
急な資金需要に対して素早く対応できるため、「今月の支払いが厳しい」という状況でも即座に活用できます。
4.取引先に知られず利用できる
請求書カード払いを利用しても、取引先にそれが知られることはありません。サービス事業者は支払い側の名義で取引先に振込を行うため、従来の取引と何ら変わりなく見えます。
資金繰りに困っていることを取引先に知られたくない場合でも安心して利用できるのは、大きなメリットです。
5.クレジットカードでの支払いになるため、借金にならない
請求書カード払いは、融資やローンとは異なり、借金として計上されません。
クレジットカードでの支払いとなるため、財務諸表上は借入金ではなく、買掛金や未払金として計上されます。金融機関からの借入限度額に影響することなく資金繰りを改善できます。
また、融資と違って担保や保証人も必要なく、信用情報にも影響しないため、将来の資金調達にも悪影響を及ぼしません。
6.複数の支払いを一元管理できる
請求書カード払いを利用することで、複数の取引先への支払いをクレジットカード一本に集約することが可能です。
支払い管理が簡単になり、様々な振込先や支払日をそれぞれ管理する必要がなくなります。カードの明細だけを確認すれば全ての支払い状況を把握できるようになるため、業務効率が大幅に向上します。
また、クレジットカードの利用履歴はデータとして残るため、後から支払いの内容を確認したり、経費を分析したりする際にも便利です。
7.振込作業の手間が減る
請求書カード払いを活用すれば、毎回の振込手続きという煩わしい作業から解放されます。
銀行振込では、取引先ごとに振込先情報を入力し、振込手続きを行う必要がありますが、請求書カード払いではそれらの作業をサービス事業者が代行してくれます。
請求書処理を効率化する方法|解決できる課題や注意点、成功事例
8.手数料が低めである
請求書カード払いの手数料は、支払い金額の3〜4%程度です。短期の資金調達方法であるノンバンクのビジネスローンは、金利相場が5%〜18%と高めなのと比べると、かなり低コストといえるでしょう。
コストが高いと、資金繰りは改善しても利益が圧迫されてしまいます。
その点、請求書カード払いは手数料負担が軽いため、資金繰り改善と利益確保を両立しやすい方法です。また、カードによって還元されるポイントを考慮すると、実質的な手数料負担はさらに下がります。
9.クレジットカードのポイントが貯まる
請求書カード払いでの支払いにもクレジットカードのポイントが通常通り付与されます。事業における大きな支出をカード決済したり、複数の支払いを1つに集約したりすれば、短期間で大量のポイントやマイルを貯められるでしょう。
ポイントやマイルは事務用品の購入やビジネス上の経費の支払い、あるいは社員の福利厚生など様々な用途に活用できます。
請求書カード払いのメリットを活かすためのクレジットカードの選び方
請求書カード払いを最大限に活用するためには、クレジットカードの選び方が重要です。自社の利用状況に合わせた選び方のポイントを見ていきましょう。
限度額の大きさを考慮する
限度額の大きさを考慮しましょう。事業では何かとクレジットカードを利用する機会が多いです。利用する枠に余裕がないと、肝心なときに請求書カード払いを利用できなくなってしまいます。
自社の事業規模やクレジットカードを利用する用途や金額を把握し、それらに見合った金額のカードを選びましょう。
月末など支払いが集中する時期に対応できるよう、月間の予想支払額の2倍程度の限度額があると安心です。
ポイント還元率が高いカードを選ぶ
請求書カード払いを利用するうえで、手数料を抑えたいと考えている方は、ポイント還元率に着目して選ぶといいでしょう。ポイント還元率が高いクレジットカードを契約することで、請求書カード払いの手数料の一部と相殺することができます。
とくに法人カードの場合は月ごとの利用額が高額になりやすいため、わずかな還元率の差でも、年間では大きな金額の違いになります。
年会費とのバランスを考える
クレジットカードの年会費は無料のものから、数万円かかるものがあります。ポイント還元率が高かったり、付帯サービスが多いサービスは、年会費も高くなりがちです。付帯サービスをあまり利用しないのであれば、年会費はデメリットです。
自社の業務スタイルや利用額に応じたカードを選ぶことが大切です。たとえば、出張が多い場合は、空港の専用ラウンジが使えるサービスが付帯したクレジットカードが便利です。法人の場合は年会費も経費計上できるため、総合的に判断しましょう。
請求書カード払いを利用するまでの流れ
ここでは、請求書カード払いを利用するまでの流れを紹介します。
- サービスへの会員登録
- クレジットカード情報の登録
- 振込先情報の入力
- カード決済の実行
- サービス事業者による振込
公式サイトから必要情報を入力し、アカウントを作成します。多くのサービスでは、メールアドレスのみで登録可能です。支払いに利用するクレジットカード情報を登録します。
取引先の銀行口座情報や支払い金額など、請求書の内容を入力します。入力内容を確認後、クレジットカードで決済します。決済完了後、サービス事業者が指定した振込日に取引先へ振込を代行します。
手続きはオンラインで完結するため、最短で即日から利用でき、取引先を待たせることなく支払いができます。
おすすめの請求書カード払い「カード払いくん」の特長
バイオンが提供している「カード払いくん」は、使いやすさとスピード感から、初めて請求書カード払いを利用する事業者におすすめです。
Web完結の最短60秒で利用でき、審査や複雑な書類提出がありません。支払いを最大60日後まで延ばせるので、一時的な資金繰りの助けとなるでしょう。
また、振込名義を指定できるので、取引先に請求書カード払いを利用していることを知られることなく使えるのも安心です。
デメリットも把握して、請求書カード払いを上手に活用しましょう
請求書カード払いは、クレジットカードの利用限度額による制約や手数料負担などのデメリットがありますが、それ以上のメリットがあるサービスです。
自社の資金繰りや支払いパターンを踏まえた上で利用すれば、資金繰りの改善や経理業務の効率化などのメリットを得られます。「カード払いくん」のような請求書カード払いサービスを活用して、自社の資金繰りにお役立てください。