ビジネスローンと融資は、どちらも資金調達の手段として使われますが、仕組みや利用条件にはいくつか違いがあります。
そのため、「どちらを選べばいいのか分からない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ビジネスローンと融資の違いを比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。ビジネスローンと銀行融資のどちらを選ぶべきかの基準も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ビジネスローンと融資の違い
ビジネスローンは、その名のとおり事業資金に特化したローン商品です。中小企業や個人事業主が、仕入れ費用や人件費、設備投資など、日々の事業活動に必要な資金を確保するために使われています。
一方の融資は、銀行や公的機関が個人や企業に対して資金を貸し付ける行為全般を指します。公的融資や民間融資など幅広い種類があり、ビジネスローンも融資の一種です。
ただしビジネスローンやその他の融資では、用途や対象が絞られています。自社にとって適した資金調達方法を見極めるためにも、それぞれの違いを正しく理解しておくことが大切です。
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ビジネスローンと銀行融資を7項目で比較
事業資金を調達する方法としてよく挙げられるのが「ビジネスローン」と「銀行融資」です。どちらも事業の資金繰りに活用できる手段ですが、審査の通りやすさや融資額、金利などに違いがあります。
ここでは、ビジネスローンと銀行融資の違いを7つの項目に分けて比較します。自社のニーズに合った資金調達方法を見つける参考にしてみてください。
比較項目 | ビジネスローン | 銀行融資 |
---|---|---|
審査基準 | スコアリング審査などで比較的通りやすい。オンライン完結型も多い。 | 審査は厳しめ。事業計画や実績をもとに総合的に判断される。 |
融資額 | 数十万~1,000万円程度が中心。 | 数千万円〜1億円超の大口融資も可能。 |
資金使途 | 比較的自由(仕入れ・人件費・広告費・税金など)。 | 用途が限定されることが多く、当初申請内容以外には使えない場合もある。 |
必要書類 | 決算書、本人確認書類など最低限の書類で申し込めることが多い。 | 詳細な事業計画書や資金使途の明細など、提出書類が多い。 |
金利・返済条件 | 金利はやや高め(年10%前後のケースも)。短期返済が中心。 | 金利は低め(1〜2%程度も)。返済期間が長く設定できる。 |
担保・保証人 | 原則として不要。 | 担保(不動産など)が必要になることがある。 |
柔軟性・スピード | オンラインで申し込み可能。最短即日で入金されることもありスピーディー。 | 申し込みから融資実行まで1~2か月以上かかることも。ただし条件変更などの柔軟性は高め。 |
1.審査基準
ビジネスローンは、銀行融資に比べて審査がやや緩やかな傾向があります。オンラインで完結するケースも多く、スコアリング審査など独自の基準で可否を判断するため、スピード感があるのも特長の一つです。
一方、銀行融資は提出資料や面談などを通じて総合的に審査が行われ、過去の実績や事業計画も重視されるため、慎重に判断される傾向があります。
2.融資額
ビジネスローンの融資額は、数十万円から1,000万円程度までが中心です。それに対して、銀行融資は事業の信用力や担保の有無に応じて融資額が決まり、数千万円〜1億円以上の大型資金にも対応可能です。
設備投資や新規出店など、まとまった金額が必要な場面では、銀行融資が向いています。
3.資金使途
ビジネスローンは、比較的資金使途の自由度が高いです。運転資金はもちろん、広告費や仕入れ、税金の支払いなどにも幅広く使える商品が多く見られます。
一方、銀行融資は用途が厳密に定められているケースが多く、申し込み時に申告した内容以外には使えないこともあります。
4.必要書類
申し込み時に必要となる書類の量や種類にも違いがあります。ビジネスローンは、決算書や本人確認書類、場合によっては収支内訳書など、最低限の資料で申し込めることが多く、書類の提出もオンラインで完了できる場合があります。
銀行融資は、これに加えて事業計画書や資金使途、場合によっては見積書や契約書など、詳細な資料を求められるのが一般的です。
5.金利・返済条件
ビジネスローンは利便性の高さと引き換えに、金利がやや高めに設定されており、短期間での返済が前提になっていることもあります。
一方、銀行融資は公的な制度融資を含めて金利が低く、返済期間も長く設定できることが多いです。
6.担保・保証人
ビジネスローンは、無担保・無保証で利用できるものが多く、個人事業主や小規模事業者にとっては申し込みやすい条件になっています。
これに対し、銀行融資では、不動産などの担保を求められることがあり、経営者個人の保証も必要となるケースが少なくありません。
7.融資の柔軟性やスピード
ビジネスローンは、WEBから24時間いつでも申し込みができ、最短即日で入金が可能です。
銀行融資は慎重な審査が必要な分、時間がかかる場合が多く、実行までに1〜2か月以上かかることも。ただし、融資後の条件変更などには柔軟に応じてもらえるケースもあります。
ビジネスローンと銀行融資のどちらを選ぶべき?
ビジネスローンと銀行融資は、どちらも事業資金を調達できる手段ですが、審査のスピードや使える金額、資金の使い道などに違いがあります。
そのため、「どちらを選べばいいのか分からない…」と迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
どちらが合っているかは、資金が必要なタイミングや金額、目的によって変わります。ここでは、それぞれに向いているケースを紹介します。
ビジネスローンを選ぶべきケース
「すぐにお金が必要」「短い期間だけ借りたい」そんなときはビジネスローンがおすすめです。仕入れや人件費が一時的に足りないとき、急な出費が発生したときなど、スピードが求められる場面に向いています。
申し込みから入金までのスピードが早く、必要書類も少なめなものが多いため、忙しい方でも手続きしやすいのが特長です。
また、審査のハードルが比較的低めに設定されているケースもあるので、創業したばかりの方や、まだ実績が少ない方にも利用しやすい手段といえるでしょう。
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融資を選ぶべきケース
銀行融資は、「まとまった金額を借りて、計画的に返していきたい」ときに向いています。新しい設備を導入したり、新店舗をオープンしたりといった事業の拡大や長期的な投資を考えている場合におすすめです。
審査には時間がかかることもありますが、そのぶん金利が低く、返済期間も長く設定できるので、月々の負担を抑えながら利用できます。
時間に余裕をもって準備できる場合や、安定した返済計画を立てたいときには、銀行融資を検討するとよいでしょう。
ビジネスローンのメリット・デメリット
ここでは、ビジネスローンのメリットとデメリットを整理して紹介します。
メリット
申し込みから融資までがスピーディー
WEBで完結する商品も多く、最短即日で入金されることもあります。
少額から利用できる
数十万円などの小口資金にも対応しているため、ちょっとした支払いにも便利です。
担保や保証人が不要なケースが多い
担保や保証人が必要ないため、準備に手間がかかりません。
使いみちの自由度が高い
運転資金や広告費、税金の支払いなど、幅広い用途に使える商品が多くあります。
デメリット
金利がやや高め
銀行融資に比べて金利は高めに設定される傾向があり、長期利用には注意が必要です。
借りられる金額に限りがある
無担保型の場合、上限が数百万円〜1,000万円程度となるケースが一般的です。
返済期間が短め
短期返済が前提の商品が多いため、毎月の返済負担が大きくなる場合もあります。
融資のメリット・デメリット
ここでは、銀行融資のメリット・デメリットを整理して見ていきましょう。
メリット
金利が低めに設定されている
長期的な借入でも返済負担を抑えやすく、総支払額も比較的少なくなります。
大きな金額を借りられる
信用力や事業計画に応じて、数千万円〜1億円以上の資金にも対応可能です。
返済期間を長く設定できる
10年などの長期返済が可能なケースもあり、無理のない返済計画を立てやすくなります。
実績として信頼につながる
銀行からの融資実績があることで、取引先や他の金融機関からの信用が高まる場合もあります。
デメリット
審査に時間がかかる
申し込みから実行まで1〜2か月かかることもあり、急な資金ニーズには対応しにくいです。
提出書類が多く、準備が大変
事業計画書や見積書など、書類を揃えるのに時間がかかることもあります。
担保や保証人が求められることがある
不動産などの担保や、代表者の個人保証が必要になるケースも少なくありません。
ビジネスローンや融資を検討する際の注意点
ビジネスローンや銀行融資は、事業に活用できる資金調達方法ですが、借りて終わりではありません。資金を確保した後も、無理のない返済や継続的な資金計画が大切になります。ここでは、利用前に押さえておきたい注意点を2つ紹介します。
余裕のある返済計画を立てる
借入の金額だけでなく、「いつ、いくら返すか」もあらかじめイメージしておくことが大切です。
毎月の返済額が大きすぎると、他の支払いに支障が出たり、運転資金が足りなくなる可能性もあります。特にビジネスローンは短期返済の商品が多いため、月々の返済負担が重くなりやすい傾向があります。
収入と支出のバランスを見ながら、無理のない範囲で返済スケジュールを立てるようにしましょう。
複数の資金調達方法を検討する
「融資だけに頼る」あるいは「とりあえずビジネスローンを使っておこう」という考えでは、資金繰りが厳しくなることもあります。事業のステージや目的によっては、他の方法を組み合わせることで、より安定した運用ができることもあるのです。
たとえば、補助金や助成金を活用すれば返済の必要がなく、負担を抑えながら資金を確保できます。
ほかにも、クラウドファンディングのように共感を得ながら資金を集めたり、ファクタリングのように売掛金を早期に現金化したりする手段も注目されています。各手法メリット・デメリットがあるため、状況や資金の使い道に合わせて検討しましょう。
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ビジネスローンと融資の違いを理解して資金調達を行いましょう
ビジネスローンと銀行融資は、審査の厳しさや融資までのスピード、金利などに違いはありますが、どちらも事業の資金調達に役立つ方法です。
すぐにお金が必要な場合はビジネスローン、長期的にゆとりをもって使いたい場合は銀行融資といったように、用途に応じて選ぶのがポイントです。それぞれの特長をしっかり理解したうえで、自社に合った方法を選びましょう。