投稿日:2025.09.29 最終更新日:2025.09.29

企業の資金調達方法の種類一覧|目的・企業規模に合わせた選び方とは

目次

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    資金調達を考えているけれど、種類が多く、特徴もさまざまなため、どの方法を選ぶべきかわからないという事業者の方も多いのではないでしょうか。

    企業の資金調達は、大きく分けて3つの種類があり、それぞれメリットやデメリットがあります。資金調達を成功させるには、それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合ったものを選ぶことが大切です。

    この記事では、資金調達の種類ごとの特徴やメリット・デメリットについて解説します。目的や企業規模別におすすめの方法も合わせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

    資金調達の種類は主に3つに分類される

    企業の資金調達は、資金の性質に応じて「アセットファイナンス」「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」の3つの種類に分けられます。

    種類特徴メリットデメリット
    アセットファイナンス資産を現金化する審査が比較的柔軟・迅速資産がないと利用できない
    デットファイナンス負債を増やす経営の自由度を維持できる返済義務・利息が発生する
    エクイティファイナンス資本を増やす返済義務がない経営権に影響が及ぶ可能性

    資金調達を検討する際は、これらの特徴を理解し、自社の状況に合った方法を選ぶことが重要です。この他にも、クラウドファンディングや補助金・助成金といった方法もあります。

    資産売却による資金調達の種類(アセットファイナンス)

    アセットファイナンスでは、企業が保有する資産を元手にして資金を調達します。企業の信用力よりも資産そのものの価値が重視されるため、赤字決算や設立間もない企業でも利用しやすいのが特徴です。

    ファクタリング

    ファクタリングは、企業が保有する売掛債権(請求書)を、ファクタリング会社に売却することで、支払期日前に現金化する方法です。融資ではないため負債が増えず、最短即日で資金化できるスピード感があります。

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    手形割引

    手形割引は、企業が受け取った約束手形を、支払い期日前に銀行や手形割引業者に買い取ってもらうことで、手数料を差し引いた現金を受け取る方法です。

    手数料は低めではあるものの、不渡りになった場合、手形を買い戻す義務が発生します。最終的な回収リスクは自社で負うことになるため注意が必要です。

    固定資産の売却

    遊休地や不要になった社用車、機械設備など企業が所有する固定資産を単純に売却して現金化する方法です。

    活用できていない資産を、直接的に事業資金へと転換できます。資産を維持するための固定資産税やメンテナンス費用といった継続的なコストが不要になるメリットもあります。

    リースバック

    リースバックは、自社が所有する不動産や設備を一度売却し、同時にリース契約を結ぶことで、売却後もそのまま資産を使い続けることができる方法です。まとまった資金を得ながら事業運営を継続できます。

    固定資産の売却に比べて資金調達までのスピードが速い傾向にあります。通常の売却では、買い手を探すのに時間がかかりますが、リースバックではリース会社などの専門業者が買主となるため、査定から契約までのプロセスがスムーズに進みます。

    M&A

    M&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語では「企業の合併・買収」と訳される経営戦略の一つです。会社や事業を売却することで、まとまった資金を得られるため、結果として有効な資金調達手段となることもあります。

    特に、一部の事業部門だけを他の企業に売却する「事業譲渡」は、採算が取れない事業を切り離し、主力事業に経営資源を集中させる目的でも活用されます。

    売掛債権担保融資(ABL)

    売掛債権担保融資(ABL)は、売掛債権や在庫など、企業の流動資産を担保に入れ、金融機関から融資を受ける方法です。

    ファクタリングとは異なり、あくまで融資ですが、資産価値を評価する点でアセットファイナンスの性質も併せ持ちます。

    負債による資金調達の種類(デットファイナンス)

    デットファイナンスは、「負債(Debt)」、つまり借入によって資金を調達する方法です。返済義務と利息が発生しますが、経営の自由度を維持できる点がメリットです。

    日本政策金融公庫の融資

    日本政策金融公庫は、国が運営する金融機関で、創業者や中小企業を中心に様々な融資を行っています。民間銀行に比べて低金利・長期返済の条件が魅力です。

    融資制度によっては無担保・無保証人で申し込めるため、実績の少ない創業者でも挑戦しやすいのが特徴。さらに、赤字決算でも事業の将来性を評価して相談に乗ってくれる傾向があります。

    銀行融資(プロパー融資)

    銀行融資には、プロパー融資と、信用保証協会による保証付き融資の2種類があります。プロパー融資は、銀行が企業の信用力だけをもとに直接行う融資です。審査は厳しいですが、金利が低く、企業の信用力向上にもつながります。

    銀行から直接融資してもらえることは、銀行からお墨付きを得たということであり、

    今後の取引や審査の際に有利に働くでしょう。

    自治体の制度融資

    制度融資は、地方自治体、信用保証協会、金融機関が連携して企業を支援する融資制度です。信用保証協会の保証がつくため、プロパー融資よりも審査に通りやすくなっています。

    また、自治体によっては経営サポートとして、専門家による経営相談や事業計画の策定支援を受けられることもあります。

    ノンバンクのビジネスローン

    消費者金融や信販会社などのノンバンクが提供するビジネスローンです。担保や保証人がいらないため、不動産などの資産がない企業でも利用しやすいのが特徴です。

    銀行融資に比べて審査が速く、手続きが簡便な反面、金利は高めに設定されています。

    ビジネスローンとは?法人向けローンのメリット・デメリットや審査のポイントを解説

    社債

    社債は、企業が投資家に対して債権を発行し、直接資金を調達する方法です。社債は公募債と私募債の2つに大きく分類されます。公募債は、不特定多数の一般投資家に向けて広く募集される社債です。

    私募債は、取引のある金融機関など、特定の少数の投資家に限定して引き受けてもらう社債を指します。

    株式発行と異なり、社債を発行した企業は、あくまで借金であるため、満期には元本を返済し、それまでの期間は利息を支払う必要があります。

    ベンチャーデット

    ベンチャーデットは、デットファイナンスとエクイティファイナンスの両方の性質を併せ持つスタートアップ向けの融資です。

    金融機関は、融資を行うと同時に、将来その会社の株式をあらかじめ決められた価格で購入できる「新株予約権」も受け取ります。

    融資という形をとるため、新株を直接発行するわけではありません。そのため、エクイティ調達に比べて、株式の希薄化を最小限に抑えながら資金を調達できるのが大きな特徴です。

    資本による資金調達の種類(エクイティファイナンス)

    エクイティファイナンスは、新株などを発行し、出資と引き換えに資金を調達する方法です。返済義務はありませんが、経営権の希薄化というリスクを伴います。

    株主割当増資

    株主割当増資は、既存の株主を対象に、持ち株数に応じて新株を購入できる権利を割り当てる方法です。

    株主の構成や持ち株比率が変わらないため、増資後の経営への影響を抑えながら、スムーズに資金を調達できます。

    第三者割当増資

    第三者割当増資は、取引先や金融機関など、特定の第三者に対して新株を発行し、出資を受ける方法です。

    第三者割当増資は、公募増資と違って株式を付与する相手を選べるため、業務提携や資本提携を目的として、特定の企業との関係を強化しながら資金を調達できます。

    ベンチャーキャピタル(VC)からの出資

    ベンチャーキャピタル(VC)は、高い成長性が見込まれる未上場企業に対して、投資を行う投資会社です。

    VCは出資することで企業が上場(IPO)したり、他の企業に買収(M&A)されたりした際に、保有する株式を売却して利益(キャピタルゲイン)を得ることを目的としています。そのため、単なる資金提供だけでなく、経営支援も行います。

    エンジェル投資家からの出資

    エンジェル投資家は、創業間もない、アイデア段階のスタートアップなどに対して資金を提供する個人投資家です。融資とは異なる基準で、事業の将来性や、経営者の情熱・能力を評価して出資を判断します。

    成功した起業家などが、メンターとして事業の成長をサポートしてくれることもあります。

    その他の資金調達の種類

    ここでは、上記の種類に該当しないその他の資金調達を紹介します。

    クラウドファンディング

    クラウドファンディングは、インターネットを通じて、不特定多数の人々から少額ずつ資金を集める方法です。購入型、寄付型、融資型、株式投資型、ファンド型、不動産投資型、ふるさと納税型など、リターンの内容によって様々な種類があります。

    補助金・助成金

    補助金・助成金は、国や地方自治体が特定の政策目的のために、事業者に給付する返済不要のお金です。IT導入補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、業務改善助成金などが代表例です。

    自己資金

    自己資金も資金調達の種類の一つです。創業者自身が持つ預貯金や資産を事業資金に充てます。

    最もリスクの低い資金調達の基本ですが、自己資金だけに頼ると事業機会を逃す可能性もあるため、外部の資金調達を上手く活用することも検討すべきでしょう。

    目的・シーン別で見る資金調達の種類

    資金調達は、目的・シーンによって最適な選択肢が異なります。ここでは、「創業期」「事業拡大」「緊急時」という3つの代表的なシーン別に、それぞれどのような資金調達の種類が適しているかを見ていきましょう。

    創業期・新規事業の立ち上げ

    創業期はまだ実績がなく、銀行融資などは審査のハードルが高いです。そのため、日本政策金融公庫の新創業融資制度や、事業の将来性を考慮してくれるエンジェル投資家からの出資、クラウドファンディングなどが主な選択肢となります。

    事業拡大・設備投資

    事業拡大・設備投資では、まとまった資金が必要になるため、信用力があれば銀行融資が最適です。スタートアップであれば、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資も考えられます。

    緊急の資金繰り対策

    資金繰りが悪化し、複数の支払い期日が重なるなど、とにかくスピードを最優先したい場面もあるでしょう。緊急の資金繰り対策としては、最短即日で資金化できるファクタリングや、審査の速いビジネスローンが適しています。

    企業規模別で見る資金調達の種類

    利用できる資金調達の種類は、企業の規模や成長ステージによっても変わってきます。ここでは、「個人事業主」「中小企業」「スタートアップ」という3つの規模別に、それぞれが選びやすい資金調達の種類を見ていきましょう。

    個人事業主・フリーランス

    個人事業主やフリーランスは法人に比べて信用力が低く見られがちなため、日本政策金融公庫や、売掛先を評価するファクタリング個人の想いや熱意を伝えやすいクラウドファンディングなどが有力な選択肢です。

    中小企業

    中小企業は、信用力や事業実績に応じて、多様な資金調達を検討できます。計画的な設備投資など時間に余裕がある場合は、低金利な制度融資や銀行融資が優先的な選択肢となるでしょう。

    もし、急な運転資金が必要になった場合は、審査が速いファクタリングも有効です。

    スタートアップ・ベンチャー企業

    スタートアップ・ベンチャー企業は、事業の急成長を目指すため、返済義務のないベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家からの出資が重要な資金調達手段となります。

    自社に合った資金調達の種類を選ぶためのポイント

    資金調達には、多くの種類があります。自社にとって最適な方法を見つけるために、以下の5つの視点から、総合的に検討しましょう。

    金額の規模で選ぶ

    資金調達の種類を選ぶ際は、何にいくら使うかを明確にしましょう。

    数十万円の短期的な運転資金であればビジネスローンやファクタリングが、数千万円以上の大規模な設備投資であれば銀行融資や出資が、それぞれ適しています。必要な金額の規模によって選択肢は大きく絞られます。

    資金調達のスピードで選ぶ

    「明日までに、どうしても現金が必要」という状況と、「半年後の事業拡大に向けて、じっくり準備したい」という状況とでは、選ぶべき方法は全く異なります。

    資金調達のスピードは、最短即日から数ヶ月以上と、種類によって非常に大きな差があります。自社の資金需要の緊急度を冷静に見極めましょう。

    返済義務の有無で選ぶ

    返済義務の有無も資金調達を検討する際の比較ポイントです。融資などのデットファイナンスは、将来の返済というコストは発生しますが、経営の自由度は100%維持できます。

    一方、出資などのエクイティファイナンスは返済不要ですが、会社の所有権の一部を渡すことになります。どちらのリスクとメリットを取るか、慎重な判断が求められます。

    経営権への影響で選ぶ

    投資家から出資を受けるエクイティファイナンスは、経営に口出しをされる可能性があります。

    事業の意思決定を自分たちだけで行いたいのであれば、返済義務はあっても経営に介入されない、融資などのデットファイナンスが適しています。経営の自由度を、どこまで維持したいかを考えましょう。

    金利や手数料などのコストで選ぶ

    資金調達には、必ずコストがかかります。一般的に、調達のハードルが低い(審査が柔軟、スピードが速い)方法ほど、金銭的なコストは高くなる傾向にあります。

    表面的な金利や手数料だけでなく、最終的なトータルコストで慎重に比較検討することが重要です。

    自社に合った資金調達の種類を検討したい方には「Bankme」がおすすめ

    どの資金調達方法が自社に合っているのか、一社ずつ問い合わせて比較するのは、非常に手間と時間がかかります。

    そんな時に頼りになるのが、複数の資金調達のプロに一括で相談できる「Bankme」です。一度の簡単申し込みで、融資や補助金、出資など、様々な選択肢の中から自社に最適な提案が複数届きます。

    また、専門家が審査の通過率を上げるための事業計画書の作成までサポートしてくれます。相談は無料です。

    種類ごとの特徴を把握して、自社に合った資金調達方法を検討しましょう

    企業の資金調達には「アセットファイナンス」「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」の3つの種類があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。

    資金調達を検討する際は、自社の成長ステージや資金調達の目的に合わせて、最適な種類を選択することが重要です。

    この記事で解説した様々な分類の視点を参考に、ぜひ自社にとってベストな資金調達を検討してください。どの資金調達を選ぶかに迷ったら、「Bankme」を活用して専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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