「ファクタリングは、融資より審査が甘いと聞いたのに、断られてしまった」「自社の状況で、ファクタリングの審査に通るか不安だ」
資金調達を急ぐ中で、ファクタリングの審査に落ちてしまうのは、事業者にとって大きな痛手です。比較的審査に通りやすいファクタリングですが、融資とは全く異なる、独自の審査基準が存在します。この基準を理解していないと、思わぬ理由で審査に落ちてしまうことも少なくありません。そこでこの記事では、なぜ審査に落ちるのか、具体的な理由と、通過率を上げるための対策を解説します。
ファクタリングの審査に落ちる7つの理由
ファクタリングの審査は、融資とは異なる視点で行われます。審査に落ちてしまう原因について、「申込企業」「売掛先企業」「売掛債権そのもの」という3つの側面で見ていきましょう。
申込企業側に起因する理由
まず、審査に落ちる原因が、申込企業様自身にあるケースです。主に以下の2つの理由が挙げられます。
1.個人事業主である、または事業実績が浅い
法人に比べて社会的信用度が低いと見なされがちな個人事業主は、審査が厳しくなる傾向にあります。また、設立間もない法人で、事業の実態が確認しにくい場合も同様です。ただし、これはあくまで傾向であり、他の要素が良好であれば、個人事業主でも利用できるサービスは数多く存在します。
2.利用者に信頼感がない
ファクタリングの審査は、書類だけで行われるわけではありません。担当者との電話やメールでのやり取り、契約前の面談における経営者の対応も見て判断しています。なぜなら、2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社は「売掛先から入金されたお金を、この経営者はきちんと送金してくれるだろうか」という点を信頼するしかないからです。
そのため、質問に対して回答が曖昧だったり、態度が高圧的だったり、提出書類と話の内容に食い違いがあったりすると、「信頼性に欠ける」と判断され、審査に落ちる原因となります。迅速かつ誠実な対応を心がけることが大切です。
売掛先企業側に起因する理由
次に、ファクタリング審査で最も重視される、請求書の支払い元である売掛先に関する理由です。どんなに申込企業が優良でも、売掛先に懸念があれば審査通過は難しくなります。
3. 売掛先の信用力が低い(経営不振、設立直後など)
ファクタリング会社にとって、最大の貸し倒れリスクは売掛先の倒産です。そのため、売掛先の経営状況が悪い、赤字が続いている、設立から日が浅いといった場合は、支払い能力に懸念ありと判断され、審査に落ちる原因となります。
4. 売掛先が個人事業主である
売掛先が法人の場合、帝国データバンクなどの信用調査会社を通じて客観的な信用力を評価できます。しかし、売掛先が個人事業主の場合、こうした客観的な評価が難しく、支払い能力の判断が困難なため、買取を敬遠されるケースがあります。
売掛債権そのものに起因する理由
売却する請求書、つまり「売掛債権」自体に問題があるケースです。申込企業と売掛先の両方に問題がなくても、以下の理由で否決されることがあります。
5. 請求書の信憑性が確認できない(実在しない取引など)
提出された請求書や契約書、発注書などから、その取引が実在するものであると明確に確認できない場合、審査には通りません。架空の請求書を使った詐欺を防ぐため、ファクタリング会社は取引の証跡を厳しくチェックします。
6. 支払い期日までの期間が長すぎる
支払い期日までの期間が長いほど、その間に売掛先が倒産するリスクは高まります。一般的に、支払いサイトが60日(2ヶ月)を超えるような長期の売掛債権は、貸し倒れリスクが高いと見なされ、審査に通りにくくなる傾向があります。
7. 二重譲渡など、不正な債権の疑いがある
一つの売掛債権を、複数のファクタリング会社に売却しようとする行為は「二重譲渡」と呼ばれ、明確な詐欺行為であり、絶対に審査に通りません。また、発覚した場合は法的措置を取られる可能性があります。
ファクタリングの複数譲渡はなぜバレるのか?二重譲渡のリスクや違法でない利用方法
ファクタリング審査で信用情報はチェックされない
融資では必ずといっていいほどチェックされる信用情報ですが、ファクタリングの審査でははチェックされません。ここでは、ファクタリングの審査で信用情報が審査されない理由について解説します。
与信取引ではないため
ファクタリングの審査で信用情報がチェックされない主な理由は、ファクタリングが与信取引ではないからです。ファクタリングは、企業が保有する売掛金を現金化する取引であり、通常の融資やローンとは異なります。そのためファクタリングの審査で利用者の信用情報を確認することはありません。
売掛先の信用力を重要視しているため
ファクタリングが借入ではなく売掛債権の買取であるため、審査では申込企業の信用情報よりも、売掛先企業の信用力が重要視されます。売掛先企業が期日通りに支払いを行うかどうかが最も重要なポイントとなるため、利用者の信用情報は重視されないのです。
信用情報機関に加盟していないため
ファクタリング会社は、信用情報機関に加盟していないため、信用情報の照会を行うことができません。また、登録されている法人の信用情報が少ないことから、ファクタリング会社は信用情報を確認しないケースが多い傾向にあります。そのため、ファクタリングの審査では信用情報がチェックされないのです。
ファクタリング審査の通過率を上げるための対策
審査に落ちる理由を理解すれば、通過率を上げるための対策を立てることができます。以下で具体的な対策を見ていきましょう。
1. 信用力の高い売掛先の請求書を選ぶ
ファクタリングの審査に通過するためにも、経営状態が安定している、信頼できる売掛先の請求書で申し込みましょう。安定した経営基盤を持つ取引先の売掛金は、ファクタリング会社にとって貸し倒れのリスクが低いと見なされやすく、審査通過の可能性が高まります。
可能であれば、設立から年数が経っており、自社との取引歴も長い、優良な取引先の債権を選びましょう。
2. 取引の証跡を丁寧に準備する
請求書だけでなく、その取引が実在することを証明する契約書、発注書、納品書、そして取引先とのメールのやり取りなどを、整理して提出できるように準備しておきましょう。書類が多く、信憑性が高いほど、審査はスムーズに進みます。
どのような書類が必要であるかは、ファクタリング会社によっても異なります。審査を有利に進めるためにも、公式サイトで確認するのはもちろん、担当者に確認しておきましょう。
ファクタリングの必要書類について以下の記事で詳しく紹介しているので、こちらもあわせて参考にしてください。
ファクタリングは請求書のみでも利用可能?【必要書類一覧】提出書類が少ない業者も紹介
3. 複数のファクタリング会社に相見積もりを取る
ファクタリング会社によって、審査基準や得意な業種は異なります。一社に断られても、他の会社では問題なく審査に通るケースは少なくありません。最初から2〜3社に同時に相談し、相見積もりを取ることで、通過の可能性を高め、かつ最も良い条件の会社を選べます。
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ファクタリングの一括見積もりサイト5選を比較!選び方や仕組み、メリット・デメリットを解説
4. 担当者からの連絡には、迅速・誠実に対応する
ファクタリングの審査では、メールや電話での対応や面接での印象も影響します。迅速かつ、嘘のない誠実な対応を心がけることで、担当者からの心証が良くなり、審査においてもプラスに働くでしょう。
以下のようなポイントを意識して、スムーズかつ真摯な対応を心掛けましょう。
- 質問には嘘偽りなく正直に答える
- 提出書類は不備なく早く提出する
審査に落ちてしまった場合の対処法
万が一、審査に落ちてしまった場合でも、諦める必要はありません。ここでは、審査に落ちてしまった場合の対処法を紹介します。
1. 別の請求書で、再度同じファクタリング会社に申し込む
一度の審査落ちでも、諦めるのはまだ早いかもしれません。否決の原因が、あなたの会社ではなく「売却しようとした請求書」にあるケースは非常に多いからです。
例えば、売掛先の信用力や、取引実績の短さが理由だった場合、別の、より条件の良い請求書(例:大手企業の請求書)で再申請すれば、問題なく審査を通過できる可能性があります。もし他に選択肢があれば、同じファクタリング会社に再挑戦する価値は十分にあります。
2. 他のファクタリング会社に申し込む
会社によって審査基準は異なります。A社ではダメでも、B社では問題なく買い取ってもらえる、ということは日常的にあります。諦めずに、ファクタリング会社に新たに相談してみましょう。
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ファクタリング審査に関するよくある質問
ここでは、ファクタリング審査に関するよくある質問に回答していきます。
ファクタリングの審査で信用情報は本当に見られませんか?
融資の審査で使われる「信用情報機関(CIC、JICCなど)」の個人信用情報を照会されることはありません。そのため、過去の借入延滞などで、いわゆる「ブラックリスト」の状態にあっても、それが理由で審査に落ちることはありません。
個人事業主は、なぜ審査に通りにくいのですか?
法人に比べて事業の実態や財務状況が把握しにくいこと、そして売掛金の入金口座が個人名義のプライベート口座と兼用されているケースが多く、資金の流れが不透明であること、などが理由です。対策として、屋号付きの事業用口座を用意しておくことが有効です。
赤字決算や税金滞納があっても、本当に利用できますか?
赤字決算や税金滞納があっても、利用できる可能性は十分にあります。ファクタリング審査で最も重要なのは、あくまで「売掛先が期日通りに支払うか」です。
そのため、自社が赤字決算であっても、売掛先が優良企業であれば、多くのファクタリング会社が相談に応じてくれます。税金滞納も、状況によっては対応可能な場合があります。
まとめ
ファクタリングの審査は、甘いわけでも厳しいわけでもなく、融資とは全く異なる基準で見られていると理解することが重要です。その基準とは、「あなたの会社は信頼できるか?」「あなたの売掛先は、本当にお金を払ってくれるか?」という、非常にシンプルな2点に集約されます。
本記事で紹介した審査に落ちる理由を避け、通過率を上げるための対策をしっかりと準備した上で申し込んでみましょう。また、自社にあったファクタリングサービスを選ぶことも、審査通過の可能性を高める上で欠かせません。しかし、数あるファクタリング会社の中から最適な一社を見つけ出すのは、手間も時間もかかります。そこでおすすめなのが「Payなび」です。Payなびであれば、1度の申請で複数社に審査の申込が可能です。1社ごとの申請に比べ時間や手間を省けるため、迅速かつ効率的な資金調達が行なえます。登録は無料です。複数社でファクタリングを申請予定の人は、登録を検討してみてください。