投稿日:2025.06.12 最終更新日:2025.06.12

スタートアップの資金調達方法とは?ラウンドごとの選び方や注意点を紹介

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    スタートアップを成長させるために欠かせない「資金調達」。どのタイミングでどんな方法を選ぶべきか悩んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。

    資金調達の方法はさまざまですが、企業の成長段階によって最適な選択肢は変わってきます。この記事では、スタートアップの資金調達方法の特徴や成長段階に応じた資金調達方法の選び方、注意点などを紹介します。ぜひ参考にしてください。

    <本文>

    スタートアップにおける資金調達の必要性

    スタートアップが持続的に成長していくためには、資金調達が必要不可欠です。どんなに優れたビジネスモデルを持っていても、資金がなければ事業活動を続けていくことはできません。

    設備投資や広告宣伝費、人材採用、製品開発など、事業を成長させるためには様々な場面で資金が必要になります。

    また、競合他社に先んじて市場シェアを獲得するためには、スピード感を持った事業展開が求められ、そのためにも十分な資金を確保しなければいけません。

    スタートアップが適切なタイミングで適切な資金調達方法を選択することは、企業が持続・発展していくための重要な経営判断といえるでしょう。

    スタートアップの4つの資金調達方法

    スタートアップの資金調達は、調達方法によって大きく以下の4つのカテゴリーに分けられます。

    • デットファイナンス
    • エクイティファイナンス
    • アセットファイナンス
    • その他(補助金・助成金)など

    デットファイナンスは、銀行融資や日本政策金融公庫からの借入など、返済義務のある資金調達方法です。エクイティファイナンスは、株式発行によってVC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家から出資を受ける方法です。

    アセットファイナンスは、売掛金などの資産を活用したファクタリングなどが該当します。他にも補助金・助成金やクラウドファンディングなど、上記3つに該当しない資金調達方法もあります。

    スタートアップは成長段階に応じて、これらの方法を組み合わせながら資金調達を行うことが重要です。

    スタートアップにおけるデットファイナンス(借入型の資金調達)

    スタートアップにおけるデットファイナンスは、以下の4つです。

    1.日本政策金融公庫

    日本政策金融公庫は、創業者向けの融資が充実しており、スタートアップにおすすめの資金調達方法です。たとえば、新規開業・スタートアップ支援資金は、最大7,200万円(そのうち運転資金は4,800万円まで)まで融資を受けることができます。

    また、「女性、若手(35歳未満)、シニア(55歳以上)の方」「過去に廃業経験があって再度創業する方」「中小会計を適用して創業する方」など特定の条件に該当する方は、低金利の適用など有利な条件で受けられる可能性があります。

    参照:

    新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫

    2.制度融資

    各地方自治体が実施している制度融資も、スタートアップにとって有効な資金調達手段です。制度融資は、地方自治体が信用保証協会、民間の金融機関と連携して実施している融資制度です。

    自治体が利子補給や保証料の一部を負担することで、スタートアップの企業でも、低金利で融資を受けられるのが特徴です。

    地域や自治体によって条件や融資限度額は異なるため、自社の所在地の自治体で事前に確認しておきましょう。

    3.銀行融資

    メガバンクや地方銀行、信用金庫などの民間金融機関から融資を受ける方法です。銀行融資には信用保証協会の保証付き融資と、保証協会を通さないプロパー融資があります。

    融資実行までには時間がかかりますが、低金利で比較的大きな金額を調達できるため、検討したい資金調達方法です。

    4.ビジネスローン

    ビジネスローンは、法人や個人事業主を対象とした事業性ローンです。担保や保証人が不要なケースが多く、審査が比較的通りやすい傾向にあります。審査から借入までのスピードも早く、最短即日から1週間で融資を受けられます。

    一方、銀行融資に比べると金利が高く、相場は1%〜18%程度です。融資限度額も低めに設定されており、数十万円から数千万円程度が一般的です。

    また、開業資金として認められないビジネスローンもあるため、事前に内容や条件を確認しておきましょう。

    スタートアップにおけるエクイティファイナンス(出資型の資金調達)

    スタートアップにおけるエクイティファイナンスは、以下の4つです。

    1.VC(ベンチャーキャピタル)

    VC(ベンチャーキャピタル)は成長性の高いスタートアップに投資する投資会社です。VCは、未上場の企業に出資し、代わりに株式などを取得します。投資先企業が上場したタイミングで株式を売却することで利益を得るのが、VCのビジネスモデルです。

    また、VCは出資だけでなく、経営支援やビジネスマッチングなどの支援も行います。事業戦略のアドバイスや人材紹介、販路開拓支援など、投資先企業の成長を加速させるためのサポートを提供することが一般的です。

    業界に精通したVCからの投資を受けられれば、その業界知識やネットワークを活用できるため、単なる資金調達以上の価値があります。

    2.エンジェル投資家

    エンジェル投資家は、自己資金でスタートアップに投資する個人投資家です。自身も企業を経験しており、若い起業家を支援したいという思いから投資を行っています。

    シード期など事業の初期段階、まだ実績が少ない時期から資金提供してくれることが多く、スタートアップにとって頼りになるパートナーといえるでしょう。

    出資の規模は、数百万円から数千万円程度です。VCと比べると控えめであるものの、自身のビジネス経験や専門知識、人脈を活かして経営アドバイスやビジネス紹介などのサポートを行ってくれることも多いです。

    投資判断も組織的な意思決定プロセスを経るVCと異なり、個人の判断で素早く行われるため、資金調達のスピードという点でもメリットがあります。

    3.IPO

    IPO(新規株式公開)は、未上場企業が株式市場に上場し、一般投資家に向けて売り出すことです。上場することで一般投資家が購入できるようになり、多くの資金を調達しやすくなります。

    IPOを行うことで投資家や取引先からの信頼が高まり、社会的信用度や知名度が向上するメリットもあります。

    ただし、誰でも上場できるわけではありません。審査に通過するための準備が必要で、当然費用もかかります。

    スタートアップにおけるアセットファイナンス(資産活用型の資金調達)

    スタートアップにおけるアセットファイナンスは、以下の3つです。

    1.ファクタリング

    ファクタリングは、業者に売掛債権を買い取ってもらい、資金調達する方法です。通常、売掛金の回収まで1〜2ヶ月かかりますが、ファクタリングを利用すれば最短で翌営業日に資金化できます。

    Payなびなら、複数のファクタリング会社に一括で申し込めます。通常、ファクタリングは1社ずつ申し込む必要があり、審査落ちした場合は最初からやり直しになってしまいますが、Payなびを使えば、一度に複数社へ申し込めるため効率的です。

    最短30分での審査完了、60分での資金化に対応しており、時間と手間を削減できます。

    2.資産売却

    企業が保有する資産を売却して資金を調達する方法です。スタートアップの場合、オフィス機器やIT機器などの有形資産のほか、開発した技術や特許、商標権などの知的財産権を売却することもできます。

    現在の事業に不要となった資産を売却すれば、維持コストを減らしながら資金を調達できます。ただし、将来的に事業に必要となる可能性のある資産の売却は慎重に検討する必要があるでしょう。

    3.債権回収

    債権回収は、企業が保有する債権を回収することで資金を確保する方法です。スタートアップが成長するにつれて売掛金や未回収の債権が増加しがちですが、早期に回収することで資金繰りを改善できます。

    また、債権回収業務を専門会社に委託するのも一つの方法です。

    スタートアップにおけるその他の資金調達

    デットファイナンス、エクイティファイナンス、アセットファイナンスに該当しない資金調達もあります。補助金・助成金、クラウドファンディングについて紹介します。

    1.補助金・助成金

    補助金・助成金は、国や地方自治体が政策目的に沿って企業に交付する資金です。返済が不要であり、資金繰りを圧迫することなく資金を調達できます。

    ものづくり補助金IT導入補助金小規模事業者持続化補助金など代表的なものはもちろん、自治体が独自で実施している補助金・助成金など様々です。事業計画の実現可能性や革新性が評価され採択されるチャンスがあります。

    2.クラウドファンディング

    クラウドファンディングは、インターネット上の専用プラットフォームを使って、不特定多数の人から少額ずつ資金を集める方法です。

    銀行融資のように信用力がなくても、アイデアやプロジェクト次第で資金調達できるため、実績の少ないスタートアップでも挑戦しやすい手段といえます。

    成長段階に応じた資金調達方法

    スタートアップは、成長段階に応じて資金調達方法が異なります。各段階の特徴を理解し、自社に合った資金調達戦略を立てることが重要です。

    シード期

    スタートアップの初期段階、本格的な商品開発やマーケティングはこれからという状態です。事業コンセプトやプロトタイプの開発に必要な少額の資金を調達します。

    エンジェル投資家、VC(シードステージ向け)、日本政策金融公庫、補助金・助成金、クラウドファンディングなどが主な資金調達先です。

    アーリー期

    製品やサービスの市場投入を始める段階です。初期顧客の獲得やビジネスモデルの検証を進めていきます。この段階では、マーケティングや人材採用などの費用に加え、事業拡大のための資金が必要となります。

    主な資金調達先は、エンジェル投資家、VC、日本政策金融公庫、補助金・助成金、クラウドファンディングなどです。

    アーリー期を乗り越えられるかどうかがスタートアップの成否を分ける重要な局面といえるでしょう。軌道に乗るまで赤字が続くスタートアップも多いため、十分な資金調達計画が欠かせません。

    ミドル期

    事業が軌道に乗り始め、市場での存在感を高めていく段階です。製品・サービスの改良や販路拡大、組織の強化などに大規模な資金が必要となります。

    この段階では金融機関や自治体からの信用も得やすくなり、融資も検討できるでしょう。資金調達の選択肢も増えてくるので、条件をしっかり吟味することが重要です。

    レイター期

    事業が軌道に乗り、安定した収益を上げられるようになった段階です。国内市場での基盤を固め、グローバル展開や新規事業への投資、さらには上場(IPO)やM&Aといった出口戦略を具体的に検討する時期となります。

    調達額も数十億円から百億円を超える規模になることも珍しくありません。金融機関からの融資もより有利な条件で受けられるようになります。

    スタートアップの資金調達における注意点

    資金調達はスタートアップの成長に欠かせませんが、方法選びから実行まで注意すべき点がいくつもあります。ここでは、スタートアップにおける注意点を8つ紹介します。

    資金調達のタイミングを見極める

    資金調達はタイミングが重要です。自社事業が軌道に乗ってきたときなど、ある程度の実績や成果が出ている段階で資金調達を行うと成功確率が高まります。

    また、資金が枯渇してから慌てて調達を始めると交渉力が弱まるため、余裕をもって資金調達を計画することが大切です。

    必要な調達額・用途を明確にする

    資金調達の際は、必要な調達額・用途を明確にすることが重要です。事業計画書を作成するときに必要な金額や用途を記載しますが、内容が漠然としていては、審査に通りません。

    「なぜその金額が必要なのか」「どのように使うのか」「投資後にどのようなリターンが見込めるのか」といった点を具体的な数字と根拠をもって示す必要があります。

    資金調達までに時間がかかる方法もある

    資金調達方法によっては、申請から実際に資金を得るまでに時間がかかる場合があります。補助金・助成金は原則後払いであり、採択されてから資金が振り込まれるまでの期間は自社で資金を用意しなければいけません。

    融資も審査に時間がかかり、実行までに数週間から数ヶ月要することもあるでしょう。資金ショートを避けるため、資金調達の期間を考慮した資金繰り計画を立てることが重要です。

    【融資の場合】担保や信用力次第では借入が厳しくなる

    融資による資金調達では、担保や信用力が重要な判断基準です。一般的に創業したばかりのスタートアップは、実績がなかったり、事業が軌道に乗っていなかったりするため、プロパー融資での資金調達は難しい傾向にあります。

    しかし、融資を受けられるかどうかは、金融機関によって様々です。最近では将来性や収益性を重視してスタートアップに融資を行う金融機関も増えてきています。

    【融資の場合】返済義務がある

    融資は、借入なので元本に利子を加えて返済しなければいけません。資金を調達できたとしても、将来的な資金繰りを考慮して返済計画を立てなければ、事業の成長途中で資金ショートに陥るリスクがあります。

    月々の返済額が経営を圧迫しないよう、余裕を持った返済計画を立てることが重要です。

    【出資の場合】出資比率を考慮した株式数に設定する

    出資を受ける際は、出資比率を考慮した株式数の設定が重要です。スタートアップの場合、創業者の持株比率が下がりすぎると、経営権の希薄化を招きます。

    たとえば、50%を超える株式を手放してしまうと、創業者であっても重要な意思決定で否決されるリスクがあります。

    出資比率によっては経営基盤が揺らいでしまうため、経営に支障が出ないように株式の発行数や種類を慎重に検討する必要があるでしょう。

    一般的に、創業者は将来の資金調達も見据えて、少なくとも67%(3分の2)以上の株式を保有しておくことが望ましいとされています。

    【クラウドファンディングの場合】資金が十分に集まらないことがある

    クラウドファンディングは手軽に始められる資金調達方法ですが、必ずしも希望金額を調達できるとは限りません。

    希望金額を調達するためには、魅力的なプロジェクトの企画と定期的な情報発信が欠かせません。プロジェクトの魅力を伝えるための文章と支援したくなるようなリターン設計を考え、SNSや人脈を存分に活用し、情報を拡散する必要があります。

    複数の資金調達方法を並行して検討する

    スタートアップの資金調達では、一つの方法だけに頼らず、複数の資金調達方法を並行して検討しましょう。

    たとえば、融資と出資を組み合わせたり、補助金・助成金の申請と同時にクラウドファンディングを準備したりすることで、資金調達の確実性が高まります。

    また、成長段階に合わせて適切な資金調達方法を選択することも重要です。シード期には補助金や創業融資、成長期にはVCからの出資など、状況に応じた最適な組み合わせを考えましょう。

    スタートアップは段階に応じた資金調達方法選ぶことが重要

    資金調達はスタートアップの成長を支える重要な要素ですが、その本来の目的は、単にお金を集めることではなく、企業価値を高めることにあります。そのためには、各成長段階に最適な資金調達方法を選び、調達した資金を効果的に活用して事業の拡大につなげることが非常に大切です。

    シード期からレイター期まで、それぞれのステージに合った資金調達先を見極め、適切なタイミングで適切な金額を調達していくことが大切です。資金調達と事業成長はセットで考え、将来のIPOやM&Aも視野に入れた長期的な視点で資金調達戦略を立てていきましょう。

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