投稿日:2025.11.21 最終更新日:2025.11.21

事業融資とは?5つの融資先や借りやすい資金調達を紹介

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    「事業を始めたいが、元手がない」

    「運転資金が足りなくなってきた」

    事業における資金の悩みは、経営者にとって常に付きまとう課題です。特に、個人事業主や中小企業にとっては、どこで、どうすれば事業融資を受けられるのか、分からないことも多いでしょう。
    この記事では、事業融資の種類とそれぞれのメリット・デメリットを徹底比較するとともに、融資の審査を通過するための具体的なコツも紹介します。

    事業融資とは?

    事業融資とは、法人または個人事業主が、事業を行うことを目的として金融機関から資金を借り入れることです。

    単にお金を借りるという行為だけでなく、事業の成長や維持に不可欠な財務戦略の一環と位置づけられます。その目的は、主に以下の2つに大別されます。

    運転資金

    運転資金とは、日々の営業活動に必要な資金です。具体的には、商品の仕入れ費用、従業員の給与、事務所の家賃、広告宣伝費などが含まれます。

    売上が入金されるまでの間の資金ショートを防いだり、事業拡大に伴う先行投資のために利用されたりします。

    設備資金

    設備資金とは、事業を長期間にわたって成長させるための投資に必要な資金です。例えば、店舗の改装費用、新たな機械や車両の購入費用、ITシステムの導入費用などが該当します。

    金額が大きくなることが多く、返済期間も長期にわたるのが一般的です。

    事業融資の主な相談先・借入先

    事業融資を受けられる相談先・借入先は、主に以下の5つです。それぞれに特徴があり、事業のステージや規模によって最適な相談先は異なります。

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    日本政策金融公庫

    日本政策金融公庫とは、国が100%出資する政府系の金融機関です。日本公庫、JFCとも呼ばれます。

    民間の金融機関の取り組みを補完し、創業者や個人事業主、中小企業といった、民間からは融資を受けにくい層への支援を主な目的としています。そのため、事業実績がない創業者でも、事業計画の将来性を評価して積極的に融資を行ってくれるのが特徴です。

    制度融資

    制度融資は、都道府県や市町村などの自治体が、地域の金融機関、信用保証協会と連携して提供する融資制度です。

    自治体が利子の一部を補給してくれたり、信用保証協会が公的な保証人となってくれるため、事業者は通常よりも低い金利で、かつ銀行からの融資審査に通りやすくなる仕組みです。

    民間の金融機関

    メガバンク、地方銀行、信用金庫などの金融機関からの融資です。信用保証協会の保証を受けずに銀行から直接借り入れるプロパー融資は、低金利で多額の融資を期待できますが、銀行が100%リスクを追うため、審査は厳しめです。

    十分な事業実績と黒字経営が続いている企業など高いハードルをクリアできる、信頼性の高い企業向けの融資と言えるでしょう。

    信用金庫・信用組合

    信用金庫・信用組合は、地域の中小企業や住民の相互扶助を目的とする地域密着型の金融機関です。

    営業エリアが指定されている分、その地域での事業に対しては親身に相談に乗ってくれる傾向にあります。日頃から口座を開設し、良好な関係を築いておくことで、いざという時に頼りになる存在です。

    ノンバンク

    ノンバンクは、銀行や信用金庫以外の預金業務を行わない金融機関の総称で、主に消費者金融や信販会社、クレジットカード会社が提供する「ビジネスローン」がこれにあたります。

    審査スピードが非常に速く、オンラインで完結する手軽さが特徴ですが、金利は他の融資に比べて高く設定されています。

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    事業資金を借りやすい融資先はどこ?目的別に5つの借入先を徹底比較

    ここでは、先程紹介した各融資先を金利や通りやすさなどの観点から、順に紹介します。

    日本政策金融公庫|創業者・個人事業主の最初の選択肢

    国の政策として、民間では融資が難しい創業者や個人事業主への支援を使命としているため、事業実績がなくても、事業計画の将来性や経営者の熱意を重視して審査してくれます。

    金利も年1%〜3%台と低く、無担保・無保証人の制度が充実している点も、借りやすさに繋がっています。事業を始めるなら、まず最初に相談すべき相手です。

    制度融資|自治体と信用保証協会がバックアップ

    信用保証協会が公的な保証人となるため、金融機関側の貸し倒れリスクが大幅に軽減されます。これにより、銀行独自のプロパー融資に比べて審査のハードルが低くなります。

    地域によって提供している制度融資が異なるため、地域の自治体がどのような制度融資のメニューを持っているか一度確認してみるとよいでしょう。

    信用金庫・信用組合|地域密着で、親身な相談が可能

    利益追求だけでなく、地域経済への貢献も目的としているため、メガバンクなどに比べて、事業規模が小さくても親身に相談に乗ってくれる傾向があります。

    ただし、あくまで民間金融機関のため、事業の実績や将来性は厳しく審査されます。

    ノンバンク(ビジネスローン)|スピード重視だが、高金利に注意

    審査スピードが速く、オンライン完結で即日融資も可能なため、借りる手続きのしやすさはNo.1です。

    しかし、金利が年10%を超えるなど非常に高く、安易に利用してしまうと、将来の資金繰りを悪化させるため、事業資金の本格的な調達手段としては順位を低くしています。緊急時の手段として考えるべきです。

    民間の金融機関(プロパー融資)|事業実績が問われる

    銀行が100%リスクを負うため、審査は最も厳格です。数年以上の安定した黒字実績、良好な財務内容、将来性など、高いハードルをクリアできる実績豊富な企業向けの融資です。

    創業者や個人事業主が最初に利用するのは極めて困難と言えるでしょう。

    創業融資は自己資金なしで利用できる?

    結論から言うと、自己資金がない状態で、創業融資を受けるのは難しいと言えます。

    以前は「新創業融資制度」に自己資金要件がありましたが、制度変更後の現在でも、自己資金の重要性は変わりません。なぜなら、自己資金は事業に対する経営者の本気度や、準備期間における計画性を示す最も分かりやすい指標だからです。

    金融機関の立場から見れば、リスクを取らない創業者にお金を貸すのは難しいと判断するのが自然です。

    日本政策金融公庫の現在の主要な制度である「新規開業・スタートアップ支援資金」などでは、かつてのような明確な自己資金の要件は撤廃されました。しかし、実務上は、創業に必要な総資金の1/4〜1/3程度の自己資金を準備しておくことが、審査をスムーズに進める上での一つの目安とされています。

    ただし、「自己資金が少ない=融資を諦める」ではありません。これまでの職務経験や実績を事業計画書で詳細にアピールしたり、専門家のアドバイスを受けて計画の精度を極限まで高めたりすることで、自己資金の不足を補い、融資の可能性を高めることは十分に可能です。

    事業融資で失敗しないための注意点

    事業融資を成功させるためにも、申し込み前に確認・準備しておきたい4つの注意点を見ていきましょう。

    税務と信用情報をクリーンな状態にしておく

    融資審査を申し込む前に、税務と信用情報をクリーンな状態に整備しておきましょう。審査では、事業計画書の内容だけでなく、経営者個人の信頼性も厳しくチェックされるポイントの一つです。

    具体的には、金融機関は確定申告書や納税証明書、個人信用情報を必ず確認します。

    納税に未納があったり、信用情報にローン返済の遅延記録があったりすると、審査に悪影響を及ぼします。心当たりがある場合は事前に信用情報機関(CICなど)で確認しておきましょう。

    資金使途と返済計画を明確にする

    「何に、いくら必要で、どうやって返すのか」を客観的な根拠とともに示すことが不可欠です。設備投資であれば見積書、運転資金であれば具体的な仕入れ計画など、希望する借入額の妥当性を示す資料を示しましょう。

    また、借入をもとに、どれだけの売上・利益を見込めるのかを事業計画書で具体的に示し、無理のない返済計画が可能であることの根拠を明確にすることも重要です。

    既存の借入状況を正確に把握・申告する

    金融機関は、今回の融資だけでなく、既存の借入金(住宅ローンやカードローンなども含む)を合算した上で、申込者の総返済能力を審査します。既存の借入を隠して申し込むことは絶対にやめましょう。

    信用情報を通じて必ず発覚し、信用を失い、審査に落ちてしまいます。全ての借入状況を正直に申告した上で、それでも返済が可能であることを事業計画で示すことが重要です。

    借り入れた資金は、事業目的にのみ使用する

    当然のことですが、事業融資として借り入れた資金を、生活費やプライベートな目的で使用することは契約違反になるため注意が必要です。融資実行後、金融機関は通帳の履歴などで資金の流れを確認することがあります。

    私的な流用が発覚した場合、一括返済を求められたり、今後の取引が停止になったりする可能性もあります。事業資金は、必ず事業計画書に記載した目的のためにのみ、適切に管理・使用しましょう。

    融資審査や書類作成の不安は「Bankme」の専門家に相談

    事業計画書の作成や面談対策は、経営者様ご自身でも可能です。しかし、日々の業務と並行して、審査を通過するレベルの書類をゼロから作り上げるのは大変なことでしょう。何が評価され、どこを改善すべきかを、客観的に判断するのは難しいからです。

    Bankme」では、元金融機関出身者などの専門家が、融資申請のプロセスをサポートします。金融機関の視点を熟知したプロが、説得力のある事業計画書の作成や面談対策を支援し、融資の成功確率を高めることから、多くの経営者様にご満足いただいています。

    事業融資に関する質問

    最後に事業融資に関する質問に答えていきます。

    個人事業主の融資、金利の相場は?

    日本政策金融公庫であれば、年利1%〜3%台が中心です。銀行のプロパー融資はケースバイケース、ノンバンクのビジネスローンは10%を超えることもあります。

    1,000万円の融資に必要な自己資金は?

    現在の日本政策金融公庫の制度では、かつての新創業融資制度にあったような「自己資金は〇分の1以上」という明確な要件は撤廃されています。

    しかし、融資審査の実務上、自己資金は依然として事業に対する本気度や計画性を示す重要な評価項目です。

    一般的に、希望する融資額に対して、1/4〜1/3程度の自己資金を準備しておくことが、審査を通過する上での一つの目安とされています。

    したがって、1,000万円の融資を希望する場合であれば、250万円〜330万円程度の自己資金があると、金融機関に対して良い心証を与え、審査が有利に進む可能性が高まります。

    個人事業主の融資、平均額はいくらくらい?

    2024年度新規開業実態調査」によると、2024年度の新規開業者が金融機関等から借り入れた資金額の平均は、780万円となっています。

    この数値は、個人事業主だけでなく法人も含まれた全体の平均値ですが、日本政策金融公庫が創業者や個人事業主への融資の主要な担い手であることから、個人事業主の融資額を考える上で参考になる指標と言えます。

    ただし、これはあくまで平均額です。実際に借りられる金額は、事業計画の内容や必要な資金総額、自己資金の額によって大きく異なるのが実情です。

    まとめ:各融資先の特徴を把握して、自社に最適な事業融資を検討しましょう

    事業融資の成功は、各融資先の特徴と審査基準を深く理解し、自社の状況に最適な相手を選ぶことから始まります。事業計画書の作成や面談対策も、相手に合わせた準備をすることで、通過率は格段に向上するでしょう。

    融資先の選定や、専門的な書類作成に不安を感じている方は、ぜひ「Bankme」の無料相談をご活用ください。元金融機関出身者などのプロが、貴社に最適な融資戦略の立案から実行までを力強くサポートいたします。

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