銀行から事業融資を受ける際に、「証書貸付」という言葉を目にすることがあります。
証書貸付とは、金融機関と融資契約を結び、借入金額や金利、返済期間、返済方法などを定めて資金を借り入れる融資方式です。
まとまった資金を一定期間で返済するため、設備投資や長期的な運転資金などに利用されることがあります。
一方、銀行融資には「当座貸越」「手形貸付」など別の方式もあります。
この記事では、証書貸付の仕組みや金利、返済方法、メリット・デメリット、審査のポイント、当座貸越・手形貸付との違いを解説します。
融資全体の種類から確認したい方は、事業融資とは?5つの融資先や借りやすい資金調達を紹介も参考にしてください。
証書貸付とは?
証書貸付とは、金融機関と借入条件を定めた契約を結び、資金を借り入れる融資方式です。
契約では主に、
- 借入金額
- 金利
- 返済期間
- 返済方法
- 担保・保証の条件
などを定めます。
契約した金額を借り入れ、その後は決められた返済スケジュールに沿って返済していくのが基本です。
証書貸付はどんな資金に利用される?
証書貸付は、比較的まとまった資金を一定期間かけて返済する場合に利用されます。
たとえば、
- 機械や設備の購入
- 店舗や事務所への投資
- 車両の購入
- 長期的な運転資金
- 既存借入の借り換え
などです。
ただし、証書貸付なら必ず長期になるわけではありません。
返済期間や利用できる資金使途は、金融機関や融資商品、企業の状況などによって異なります。
証書貸付を利用する3つのメリット
証書貸付には、まとまった事業資金を計画的に返済したい企業に適した特徴があります。
1. まとまった資金を長期間で返済しやすい
設備投資などでは一度に大きな支出が発生しますが、その投資による売上や利益は数年かけて生まれることがあります。
証書貸付で返済期間を設定することで、毎月の返済負担を考慮しながら資金を調達できます。
2. 返済計画を立てやすい
証書貸付では、契約時に返済期間や返済方法を決めます。
毎月どの程度の返済が必要になるのかを把握しやすいため、資金繰り計画にも反映しやすい点がメリットです。
3. 運転資金にも利用できる場合がある
金融機関や商品によっては、設備資金だけでなく運転資金にも証書貸付を利用できます。
ただし、短期間だけ繰り返し資金が必要になる場合は、当座貸越など別の融資方式が適していることもあります。
証書貸付のデメリット・注意点
証書貸付を利用する際には、次の点にも注意しましょう。
借入のたびに審査・契約が必要になる
証書貸付では、基本的に融資を受ける際に審査を受け、融資条件を決めて契約します。
一度契約したからといって、その後自由に追加借入できるわけではありません。
追加資金が必要になった場合は、新たな融資について金融機関へ相談する必要があります。
借入期間が長いと返済負担も長く続く
返済期間を長くすると毎月の返済額を抑えやすくなる一方、借入残高が長期間残ります。
また、返済期間が長くなるほど利息の総支払額が増える可能性があります。
「借りられる金額」ではなく、無理なく返済できる金額を基準に考えることが重要です。
繰上返済などの条件を確認する必要がある
予定より早く返済したい場合でも、手続きや手数料が必要になることがあります。
将来的に繰上返済を検討している場合は、契約前に条件を確認しておきましょう。
証書貸付の金利はどう決まる?
証書貸付に一律の金利はありません。
金利は、
- 金融機関・融資商品
- 企業の財務状況
- 借入金額
- 返済期間
- 資金使途
- 担保・保証の有無
などによって異なります。
固定金利・変動金利のどちらが適用されるかも契約によって異なるため、金利の数字だけでなく条件全体を確認しましょう。
また、信用保証料や事務手数料などが発生する場合もあります。
資金調達コストについては、資金調達の手数料・金利はどれくらい?も参考にしてください。
証書貸付の返済方法
証書貸付では、融資商品によって返済方法が異なります。
代表的なのが「元金均等返済」と「元利均等返済」です。
元金均等返済
毎回返済する元金を一定にする方法です。
借入残高が減るにつれて利息も減るため、返済開始時の支払額は大きくなりやすい一方、徐々に返済額が減っていきます。
元利均等返済
元金と利息を合わせた毎回の返済額を一定にする方法です。
毎月の支払額を把握しやすいため、資金繰り計画を立てやすい特徴があります。
実際に利用できる返済方法は金融機関や商品によって異なります。契約前に返済予定表を確認し、無理のない返済額か確認しましょう。
証書貸付の審査で確認しておきたいポイント
具体的な審査基準は金融機関によって異なります。
申し込み前には、少なくとも次の内容を整理しておきましょう。
- 売上・利益などの業績
- 現預金や借入金などの財務状況
- 既存借入の残高・返済状況
- 資金使途
- 必要な借入額とその根拠
- 今後の返済原資
- 設備投資などによる収益見込み
特に重要なのが、「なぜその金額が必要なのか」「どのように返済するのか」を説明できることです。
設備投資なら見積書や事業計画などを用意し、投資が今後の売上や利益にどうつながるのか整理しておきましょう。
証書貸付・当座貸越・手形貸付の違い
銀行融資では、証書貸付のほかに当座貸越や手形貸付などがあります。
| 融資方法 | 主な特徴 | 向いている資金需要 |
|---|---|---|
| 証書貸付 | 契約した金額を借り、契約に沿って返済する | 設備投資や長期の運転資金 |
| 当座貸越 | 極度額の範囲内で借入・返済する | 繰り返し発生する短期的な資金需要 |
| 手形貸付 | 手形を利用して借り入れる | 比較的短期間の運転資金 |
どれが優れているというものではありません。
必要な金額・期間・資金使途に合わせて選ぶことが重要です。
証書貸付と当座貸越の違い
証書貸付では、契約した金額を借り入れ、決められたスケジュールに沿って返済します。
一方、当座貸越では、設定された極度額の範囲内で必要額を借り入れ、返済後に再び利用できる商品があります。
つまり、
まとまった資金を一定期間かけて返済するなら証書貸付
繰り返し発生する資金需要に備えるなら当座貸越
と考えると違いが分かりやすいでしょう。
詳しくは、法人向け当座貸越とは?仕組み・金利・審査・メリット・デメリットを解説をご覧ください。
証書貸付と手形貸付の違い
手形貸付は、借入人が金融機関に手形を差し入れて融資を受ける方式です。
比較的短期間の運転資金などに利用されることがあります。
一方、証書貸付は、まとまった資金を一定期間かけて返済する場合に利用されます。
実際の使い分けは資金使途や返済期間などを踏まえて判断しましょう。
証書貸付が向いている企業
証書貸付は、次のようなケースで検討しやすい融資方式です。
- 設備投資のためにまとまった資金が必要
- 長期的な運転資金を確保したい
- 数年かけて計画的に返済したい
- 事業拡大のための投資を予定している
一方、一時的な資金不足が繰り返し発生する場合には、当座貸越など別の融資方式が適していることもあります。
証書貸付を利用する前に確認したいこと
契約前には、少なくとも次の項目を確認しましょう。
- 借入金額
- 金利
- 固定金利・変動金利の別
- 返済期間・返済額
- 担保・保証の有無
- 手数料
- 繰上返済の条件
「証書貸付で借りること」を目的にするのではなく、自社の資金需要に合った融資方式かどうかを考えることが大切です。
「証書貸付と当座貸越のどちらが合うか分からない」「どの金融機関へ相談すればよいか判断できない」という場合は、資金調達に詳しい専門家への相談も選択肢です。
Bankme(バンクミー)では、銀行出身者や税理士、融資コンサルなど、資金調達に詳しい専門家への相談先を探せます。
新規融資や借り換え、返済計画なども含めて、自社に合った資金調達方法を検討しましょう。
証書貸付についてよくある質問
証書貸付は運転資金にも使えますか?
金融機関や融資商品によっては、運転資金にも利用できます。
ただし、短期間だけ繰り返し必要になる資金の場合は、当座貸越など別の方式が適していることもあります。
証書貸付の返済期間はどれくらいですか?
一律の返済期間はありません。
資金使途や融資商品、企業の返済能力などによって異なります。
契約前に毎月の返済額と完済までの期間を確認しましょう。
証書貸付と当座貸越はどちらがいいですか?
一概にどちらがよいとはいえません。
まとまった資金を一定期間で返済したい場合は証書貸付、短期的な資金需要が繰り返し発生する場合は当座貸越が選択肢になります。
必要な金額・期間・資金使途を整理して判断しましょう。
まとめ|証書貸付はまとまった資金を計画的に返済したい場合の選択肢
証書貸付は、金融機関と融資条件を定めた契約を結び、資金を借り入れて契約に沿って返済する融資方式です。
設備投資や長期的な運転資金など、まとまった資金を一定期間かけて返済したい場合に利用されます。
一方、繰り返し発生する短期的な資金需要では、当座貸越など別の融資方式が適している場合もあります。
大切なのは、「何に、いくら必要で、どのくらいの期間で返済するのか」から融資方式を選ぶことです。
自社に適した融資方法や金融機関を判断しにくい場合は、Bankme(バンクミー)を通じて資金調達の専門家へ相談する方法もあります。



