つなぎ資金は、融資実行までの運転資金の確保や、補助金入金までの経費立て替えなど、事業における一時的な資金不足を解消する財務手法です。
しかし、「金利が高くてもったいないと聞く」「自社に合った調達方法が分からない」といった不安や疑問を抱えている経営者様も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、事業者がつなぎ資金を活用するメリットや、利用時のデメリット・注意点、融資やファクタリングといった具体的な調達方法などについて解説します。短期の資金繰りをスムーズに進めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
つなぎ資金・つなぎ融資とは?
つなぎ資金とは、将来的にまとまった資金が入ることを前提に、その入金までのつなぎとして利用する短期の資金調達方法です。特に、必要な支払いが先で、入金が後になるタイムラグを埋めるために活用されます。
運転資金との違い
運転資金は、仕入れ費や人件費、家賃など日々の事業運営に必要な資金全般を指す広い言葉です。
一方つなぎ資金は、その運転資金の中でも特に、入金待ちの間に発生する短期的な資金不足を解消するための資金という狭い意味で使われます。
つなぎ融資と分割融資との違い
分割融資とは、融資契約額をプロジェクトの進捗に合わせて分割で実行してもらう方法です。
つなぎ融資のように別途のローン契約や高い金利が不要になるメリットがありますが、対応できる金融機関や案件が限られる点に注意が必要です。
つなぎ資金はいつ返済するのか?
住宅ローンであれば住宅ローン実行時、事業融資であれば本融資の実行時や、補助金の入金時など、目的としていた大きな資金が入金されたタイミングで、一括返済するのが基本です。借入期間は数ヶ月〜1年以内と、ごく短期に設定されます。
つなぎ資金・つなぎ融資が活用される3つの場面
つなぎ資金は、以下のような場面で活用されます。
事業資金ショートを防ぐ「法人・個人事業主向けつなぎ資金」
「大型案件の受注で、先に多額の仕入れ費用が必要になった」「補助金の採択は決まったが、入金は半年後で、それまでの経費が支払えない」といった、事業における一時的な資金不足を解消します。
この場合、後述する金融機関からのつなぎ融資や、請求書を現金化するファクタリングなどが活用されます。
住宅ローン実行までの「住宅つなぎ融資」
注文住宅の建築では、土地の購入時、着工時、上棟時など、住宅の完成前に複数回、建築会社への支払いが必要です。
しかし、一般的な住宅ローンは建物が完成しないと実行されません。この支払いのタイムラグを埋めるのが、住宅つなぎ融資です。主に、住宅ローンを組む金融機関や、提携する信販会社が提供しています。
公的支援を受けるまでの「生活つなぎ資金」
離職などにより住居を失い、生活に困窮している方が、公的な給付や融資(生活保護、住居確保給付金など)を受けられるまでの当面の生活費を支援する公的な貸付制度です。
各市区町村の社会福祉協議会が相談窓口となっており、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」などがこれにあたります。
つなぎ資金を利用するメリット
つなぎ資金を活用することで、以下のようなメリットがあります。
資金ショートを防げる
つなぎ資金を活用するメリットは、黒字倒産のリスクを回避できることです。売上は立っているにもかかわらず、入金と支払いのタイミングのズレによって手元の現金が不足し、支払いができなくなる事態を防ぎます。
従業員の給与や仕入先への支払いを遅らせることなく、事業を継続させることができます。
販売機会の損失を防ぐ
つなぎ資金では、「大きな受注があったが、先行する材料費を払えないため、受注を諦めざるを得ない」というような機会損失を防ぎます。
先に必要な資金を確保し、大規模なプロジェクトに取り組むことで、企業は大きな成長機会を掴むことができます。
取引先からの信用を維持する
仕入先や外注先への支払いが遅れることは、企業の信用を著しく損ないます。つなぎ資金を活用し、支払期日通りに行うことで、取引先との良好な関係を維持し、その後のビジネスを円滑に進めることができます。
つなぎ資金の主な調達方法
事業者が利用できるつなぎ資金の調達方法は、以下の4つです。
- 日本政策金融公庫・商工会からの融資
- 民間金融機関からの「つなぎ融資」
- ノンバンクの「ビジネスローン」
- 売掛債権を売却する「ファクタリング」
それぞれの調達方法について詳しく見ていきましょう。
日本政策金融公庫・商工会からの融資
日本政策金融公庫や、地域の商工会議所・商工会では、短期の資金調達に対応した融資制度を用意しています。公的機関であるため金利が低く、安心して相談できるのがメリットですが、審査には一定の時間が必要です。
民間金融機関からの「つなぎ融資」
取引のある銀行や信用金庫が、不動産担保ローンや、将来的に実行する本融資を前提とした、短期のつなぎ融資を提供することがあります。金利はケースバイケースで、審査のハードルは公的機関より高い傾向にあります。
ノンバンクの「ビジネスローン」
審査時間が速く、オンラインで完結するなど、手軽さとスピードが特徴です。急な資金需要に迅速に対応できますが、金利が年10%を超えるなど、他の方法に比べてコストが高くなる点に注意が必要です。
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売掛債権を売却する「ファクタリング」
融資(借入)ではなく、企業が持つ請求書(売掛債権)をファクタリング会社に売却することで、最短即日で現金化する方法です。負債を増やさずに資金調達できるため、近年、つなぎ資金の調達方法として利用が急増しています。
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つなぎ資金はもったいない?デメリットと注意点
つなぎ資金は便利な反面、「金利が高くてもったいない」と言われることがあります。利用前にデメリットや注意点を必ず理解しておきましょう。
金利や手数料が割高になる傾向にある
つなぎ融資は、返済原資が将来の入金に依存するという性質上、貸し手にとってリスクが高い商品です。そのため、通常の事業融資に比べて金利が高めに設定されています。
また、ローン契約のための手数料や印紙代なども別途かかるため、短期の利用であっても、総支払額は大きくなる傾向にあります。
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取扱金融機関が限られる
つなぎ融資は、全ての金融機関が積極的に扱っているわけではありません。返済原資が将来の入金(本融資の実行や補助金の入金など)に依存するため、金融機関にとってはリスクの高い融資と見なされるためです。
そのため、取引実績の浅い企業や、新規の顧客に対しては、提供を渋るケースも少なくありません。普段から取引のあるメインバンクに相談するのが基本となりますが、断られる可能性も考慮し、他の調達方法も並行して検討しておくべきでしょう。
本融資の審査に落ちると、返済困難になるリスクがある
つなぎ融資は、あくまで将来の事業融資や住宅ローンが実行されることを前提としています。万が一、本融資の審査に落ちてしまった場合、つなぎ融資の返済原資がなくなり、深刻な事態に陥るリスクがあります。
このリスクを避けるため、つなぎ融資の申し込みと並行して、本融資の審査も進めておくことが重要です。
法人・個人事業主のつなぎ資金の相談なら「Bankme」
つなぎ資金の調達は、融資やファクタリングなど多様な選択肢の中から、自社の状況に合わせて最適な手段を選ぶ必要があります。専門家に相談すれば、各手法のメリット・デメリットを客観的に比較し、有利な条件での資金調達を実現できるでしょう。
Bankmeは、元金融機関出身者などのプロに無料で相談できるサービスを備えており、貴社のつなぎ資金に関する課題解決に大きく貢献します。
まとめ:つなぎ資金の種類とリスクを理解し、短期の資金ショートを乗り切りましょう
つなぎ資金は、事業における一時的な資金ショートを乗り切るために有効な手段です。融資やファクタリングなど多様な選択肢があり、それぞれのメリットやリスクを理解して、自社の状況に最適な方法を選ぶことが重要です。
Bankmeでは、元金融機関出身者などの専門家が、貴社のつなぎ資金に関する課題をヒアリングし、中立的な立場から最適な解決策をご提案。短期の資金繰り改善を、専門家の知見で力強くサポートいたします。急な資金需要や短期の資金繰りでお悩みの方は、ぜひBankmeの無料相談をご活用ください。



