投稿日:2025.04.16 最終更新日:2025.04.21

法人税の申告・支払時期はいつ?期限を過ぎた場合のリスクも紹介

目次

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    法人を経営していくうえで、法人税の申告と納付は避けては通れません。しかし「いつまでに行うべきか」「期限に間に合わなかった場合どうなるのか」など疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

    この記事では、法人税の申告・支払時期を紹介するとともに、納付方法や期限に間に合わなかった場合のリスク、支払いに遅れないための対処法などを解説します。ぜひ参考にしてください。

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    法人税の申告・支払時期

    法人が納めるべき法人税は、個人事業主と異なり、会社ごとに定めた決算日によって申告・納付期限が変わります。失念しないためにも、しっかりと期限を把握しておきましょう。

    法人税の申告時期

    法人税の申告時期は、会社で決めた事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。3月決算の会社であれば5月末日までに、9月決算の会社であれば11月末日までに申告する必要があります。

    法人税の支払時期

    法人税の支払時期は、中間申告分と確定申告分で2回あります。中間申告とは、事業年度の途中で法人税額の半分を納める制度です。

    中間申告分は事業年度開始から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内、確定申告分は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内が期限です。

    ただし、前事業年度の法人税額が20万円以下の場合や設立初年度の法人は中間申告が不要となります。

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    法人税以外の申告・支払時期はいつ?

    会社を経営するうえでは、法人税だけでなく、様々な種類の税金を納付する必要があります。それぞれの税金には異なる申告・納付期限があるので、しっかり把握しておきましょう。

    消費税

    消費税の申告・納付期限は法人税と同じく、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。

    ただし、課税売上高が大きい法人は、年に複数回の申告・納付が必要な場合があります。前年の課税売上が1,000万円以下の場合は免税事業者となり、消費税の納付義務がありません。

    源泉所得税

    給与や報酬から天引きした源泉所得税は、原則として翌月10日までに納付します。

    なお、従業員数が10人未満の小規模事業者は「納期の特例」を申請することで、年2回の(7月10日と翌年1月20日)の納付にまとめることができます。

    固定資産税

    土地や建物、償却資産に対して課される固定資産税は、市区町村ごとに定められた期日に納付します。一般的に、年4回(6月、9月、12月、翌年2月)に分けて納付するケースが多く、納付書は市区町村から送付されます。

    自動車税

    会社所有の自動車には、毎年4月1日時点の所有者に自動車税が課されます。普通自動車は毎年5月末、軽自動車は4月末が納付期限となるケースが多いです。

    自治体によって期限が異なるため、各都道府県や市区町村から送付される納付書を確認しましょう。

    法人事業税

    法人事業税の申告・納付期限も法人税と同様に、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。法人事業税は都道府県税であり、申告書は都道府県税事務所に提出します。税率は資本金の額や所得によって異なります。

    法人住民税

    法人住民税は都道府県民税と市区町村民税の総称です。申告・納付期限は法人税と同じく、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。均等割と法人税割があり、赤字決算の場合でも均等割は納付する必要があります。

    法人税の納付方法

    法人税の納付方法は、以下のようなものがあります。

    • ダイレクト納付
    • クレジットカード納付
    • コンビニ納付
    • インターネットバンキング納付

    法人税の納付方法は、近年のデジタル化によって多様化しています。ダイレクト納付では、e-Taxでの申請後に指定した銀行口座から自動的に引き落とされるため、手続きが簡単です。

    クレジットカード納付なら、国税クレジットカードの支払サイトから手続きでき、ポイント還元も受けられます。ただし、手数料がかかる点には注意が必要です。

    30万円以下の納税額であればコンビニ納付も可能です。納付書やQRコードを用意すれば、24時間対応の店舗で支払えます。インターネットバンキング納付は、自宅や会社から24時間いつでも納付できる便利さがあり、事前にe-Taxの利用開始手続きが必要です。

    法人税の申告・支払期限に遅れるとどうなる?

    法人税の申告や納付は必ず期限内に行わなければなりません。もし期限に遅れると、以下のようなペナルティがあります。

    延滞税が課せられる

    法人税の納付期限を過ぎると、納付が完了するまでの期間に対して延滞税が課せられます。

    延滞税は遅れた日数分かかり、期限から2ヶ月以内の部分は年率7.3%、それ以降は年率14.6%と高額です。400万円の法人税を3ヶ月滞納した場合、延滞税だけで約10万円が追加でかかります。

    無申告加算税が課せられる

    申告期限までに確定申告書を提出しなかった場合、無申告加算税が課せられます。納付すべき税額の15%(50万円を超える部分は20%)のペナルティです。

    ただし、期限後1ヶ月以内に自主的に申告し、特定の条件を満たす場合は無申告加算税が免除されることもあります。

    重加算税が課せられる

    意図的に所得や税額を隠蔽・仮装して申告しなかったり、過少申告したりしてしまうと、重加算税が課せられます。

    重加算税は申告書を提出しているかどうかで課される割合が異なります。無申告の場合は税額の40%、過少申告の場合は税額の35%です。

    税務調査の対象となる

    法人税の申告・納付期限に遅れると、税務調査の対象となる可能性が高まります。税務調査は確定申告後の7月以降に多く実施されますが、遅延や不正確な申告があると優先的に調査対象になりやすくなります。

    事前通知なしの強制調査や通知後2〜3週間後に行われる任意調査もあり、準備する時間はほとんどありません。

    調査の結果、申告漏れが発見されると追徴課税はもちろん、悪質と判断されれば強制執行で財産を差し押さえられることもあります。日頃から正しい申告と、資料の整理が大切です。

    企業の信用度が下がる

    法人税の支払いを滞納して、財産を差し押さえられてしまうと、企業の信用度は大きく下がります。

    取引先からは信頼を失い、取引停止や契約解除につながりかねません。また、銀行などの金融機関からの融資の審査も厳しくなり、運転資金の確保や事業拡大のための資金調達が難しくなってしまうでしょう。

    青色申告が取り消される

    青色申告とは、税務署に事前に申請し承認を受けた法人や個人事業主が利用できる申告方法です。最大65万円の特別控除や赤字の繰越控除など、税務上の優遇措置を受けられます。

    青色申告の特別控除を受けるには、期限内に申告書を提出するのが条件です。2期連続で申告期限を過ぎた場合には、青色申告の承認が取り消されてしまいます。

    承認取消後は白色申告となり、青色申告特別控除は10万円までしか適用されないだけでなく、赤字の繰越控除など他の優遇措置も受けられなくなります。一度取り消されると再申請には1年以上待たなければいけません。

    法人税を滞納するリスク|払えないとどうなるのか対処法と合わせて解説

    法人税の申告・支払時期を過ぎそうな場合の対処法

    法人税の申告・納付期限が迫っているのに、資金繰りが厳しく支払いが難しいこともあるでしょう。しかし、単に期限を過ぎて滞納するのではなく、手続きを踏むことで対応できる制度があります。以下で、詳しく見ていきましょう。

    猶予制度

    法人税の納付が難しい場合に利用できるのが「納税の猶予制度」です。災害や病気、事業の休廃止、著しい損失など、やむを得ない理由がある場合に申請できます。

    申請が認められると、原則として1年以内の期間で分割納付が可能になり、延滞税も軽減されます。猶予期間中は差押えなどの処分も猶予されるため、条件に該当している方は検討してみましょう。

    延納制度

    法人税の納付額が確定しているものの、一度に全額を納付するのが難しい場合は「延納制度」が利用できます。

    延納制度では、確定申告期限までに納付すべき税額の半分以上を納付し、「所得税・復興特別所得税の延納届出書」を提出することで、残りの税額の納付期限を2ヶ月延長できます。

    3月決算の会社なら、通常の納付期限である5月末までに半額以上を納付すれば、残額の支払期限は7月末までとなります。ただし延納期間中は利子税(年7.3%または特例基準割合のいずれか低い方)がかかるため、できるだけ早い納付を心がけましょう。

    法人税の支払いに遅れないための対処法

    ここでは、法人税の支払いに遅れないための対処法を紹介します。

    自社にあった納税方法を選ぶ

    法人税の納付方法は複数あるため、自社の業務体制や資金繰りに合った方法を選びましょう。

    電子申告(e-Tax)なら24時間いつでも申告・納付が可能で、繁忙期でも税務署に行く時間を作る必要がありません。ダイレクト納付を利用すれば、指定した期日に自動的に引き落としされるため、納付忘れを防止できます。

    クレジットカードなら、支払いを先延ばしにできるため一時的な資金不足を回避できますが、決済手数料が発生する点には注意が必要です。コンビニ納付も30万円以下なら可能で、営業時間外でも納付できて便利です。

    予備の資金調達手段を確保しておく

    法人税の納付期限が迫っているのに資金が足りない場合に備え、予備の資金調達手段を確保しておくことが大切です。

    代表的な資金調達手段として挙げられる銀行融資は、金利が低く設定されているのが多いというメリットがありますが、審査に時間がかかります。そのため、納付期限が迫っている状況では間に合わないかもしれません。

    ノンバンク系のビジネスローンは審査が迅速で、最短で即日融資が可能なケースもあります。

    ファクタリングは売掛金を買い取ってもらうことで、最短即日で資金化できるサービスです。通常の融資と異なり審査が比較的緩やかで、赤字決算の企業でも利用できるケースがあります。

    ただし、手数料が発生するため、事前に複数社の条件を比較検討することが大切です。急な資金需要に備え、これらの資金調達手段について情報収集しておくことで、納税期限を迎えても慌てずに対応できるでしょう。

    ファクタリングなら複数社を一括比較できる「Payなび」がおすすめ

    法人税の支払時期が迫っているのに資金が不足しているときに、ファクタリングを活用できますが、複数社で比較するなら「Payなび」がおすすめです。

    通常なら、複数のファクタリング会社に一社ずつ申し込んで審査を受ける必要がありますが、Payなびなら、一回の申し込みで複数社の条件を比較検討できるため、効率的に自社にあったファクタリングを選べます。

    最短30分の審査、最短60分の資金化に対応しており、赤字決算や支払い遅延中の企業でも利用が可能です。

    納付のための急な資金調達が必要な場合も、オンラインで簡単に申し込めるPayなびを活用すれば、納付期限に間に合わせることができるでしょう。

    法人税の支払時期についてよくある質問

    ここでは、法人税の支払時期についてよくある質問に回答していきます。

    1. 法人税の納付期限はいつですか?

    法人税の納付期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。

    また、法人税には中間申告という制度があり、対象の企業は事業年度開始から6ヶ月経過してから2ヶ月以内に納付ししなければいけません。なお、前期の法人税額が20万円以下の場合や、設立初年度の法人は中間申告が不要です。

    2. 納付期限が休日の場合は?

    法人税の納付期限が土曜日・日曜日・祝日など金融機関の休業日にあたる場合は、その翌営業日が納付期限となります。事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内の申告・納付が必要です。

    3. e-Taxでの納付の期限はいつまでですか?

    e-Taxを利用した法人税の電子納付の期限も、書面で申告・納付する場合と同じく事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。

    インターネットを使って24時間いつでも手続きができるため、納付期限ギリギリでの対応も可能ですが、システムの混雑やトラブルに備えて余裕をもった申告・納付を心がけましょう。

    法人税の申告・支払時期はしっかり把握して準備しましょう

    法人税は、会社ごとの定めた決算日に応じて申告・納付期限が決まります。期限に遅れると延滞税や加算税などのペナルティが発生するだけでなく、企業の信用問題にも発展しかねません。

    申告・納付期限に間に合わせるためには、日頃から経理処理を行い、納税資金を計画的に確保しておくことが大切です。

    万一、資金が不足する場合は猶予制度や延納制度の利用も検討しましょう。急な資金不足に対応したい方は、ファクタリング一括申込みサービス「Payなび」をご利用ください。

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