法人にとって経費とは、利益計算と税額計算の出発点です。
「これって法人の経費にできるのか」「経費を削るべきか、投資と考えるべきか」と悩む経営者は少なくありません。
経費は節税だけでなく、資金繰りや今後の資金調達にも大きく影響する要素です。
また、固定費削減には限界があり、やみくもな削減は事業の成長余力を奪うことにもなるため「経費」と「資金調達」をセットで検討することが重要となっています。
そこで本記事では、法人の経費の基本的な考え方、経費削減と資金繰りの関係、経費と資金調達をセットで考えるポイントを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
法人にとって「経費」とは何か
経費とは
- 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
のことです。
つまり 法人の経費=利益計算と税額計算の出発点 ということです。
「売上 − 経費 = 利益」というシンプルな式のとおり、どのような経費がどれくらい発生しているかで、最終的に残るキャッシュと納税額が変わってきます。
経費にできるもの・できないもののざっくりイメージ
細かな判断は税理士など専門家に委ねるとして、法人の経費はおおよそ次のように整理できます。
経費にできる可能性が高いもの
- 事業の売上獲得や維持に直接関連する支出
- 役員・従業員の給与、社会保険料の会社負担分
- 融資やビジネスローン、ファクタリングなど、事業のための資金調達に伴う利息・手数料
- オフィス賃料、水道光熱費、通信費、広告宣伝費、外注費 など
経費にしづらい・制限があるもの
- 経営者・家族のプライベートな支出
- 資産性が高い支出(一定以上の備品・機械などは「減価償却」)
- 税法上、経費算入に制限がある交際費や寄附金 など
いずれも「事業の遂行や資金調達に必要な支出かどうか」が判断基準となり、個人的な支出や資産性の高い支出は経費にしにくい点に注意が必要です。
経費が法人の資金繰りに与える影響
法人の経費は、増やせば増やすほど利益と税額を圧縮できますが、同時に手元資金も減るという点を無視できません。
- 経費を使う
→ 税金は減るが、その分キャッシュが出ていく - 経費を抑える
→ 税金は増えるが、キャッシュは社内に残る
「経費で落とせるから使おう」と短期的な節税だけを重視すると、適切な運転資金を維持することが困難になり、資金繰りが苦しくなり、結果的に融資やビジネスローン、ファクタリングなどへの依存度が高まるリスクがあります。それを避けるためには下記のポイントを意識するといいでしょう。
固定費・変動費のバランス
法人の経費は、ざっくり次の2つに分けられます。
- 固定費:家賃・人件費・システム利用料など、売上に関係なく一定額発生する費用
- 変動費:原価・仕入・外注費・広告費など、売上に連動して増減する費用
法人が見直したい主な経費項目
法人の経費の見直しといっても、どこから手を付けるべきか迷うことも少なくありません。ここでは、特に金額インパクトが大きく、見直し効果が出やすい3つの項目に絞ってポイントを整理します。
1.人件費・外注費
人件費は法人の経費の中でも大きな割合を占める費目のひとつです。
とはいえ、安易に人員削減を行うと、売上機会の喪失や品質低下につながるリスクもあります。
- コア業務は自社人材で、定型業務はアウトソーシングに切り替える
- 逆に、外注費が膨らみすぎている場合は、一部を内製化してコストダウンを図る
など、「人件費と外注費のバランス」を意識し、単純な削減ではなく生産性向上を前提とした見直しがポイントです。
2.広告宣伝費・販促費
広告やマーケティング費用も、「削減すれば良い」というものではありません。
むしろ、売上に直結する広告を過度に削ると、売上減少→さらなる資金繰り悪化につながることもあります。
- CPA(顧客獲得単価)やLTV(顧客生涯価値)を踏まえた投資判断
- 効果が薄い媒体から順に削減する
- 成果報酬型など、キャッシュアウトを抑えた広告手法の活用
など、費用対効果を数字で把握したうえでの整理が必要です。
3.サブスク型サービス・システム利用料
クラウドサービスや業務支援ツールなど、毎月のサブスクリプション費用が積み上がっている法人も多く見られます。
- ほとんど使われていないアカウントや機能
- 部署ごとにバラバラに導入され、重複しているサービス
などを洗い出し、統廃合やプラン変更を検討することで、固定費の削減が期待できます。
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経費だけでなく「資金調達」とセットで考える
経費の圧縮だけでは限界がある
資金繰りが厳しくなった法人が、まず経費削減に取り組むのは自然な流れです。しかし、固定費削減には限界があり、やみくもな削減は事業の成長余力を奪うことにもなります。
- そもそも売上規模に対して固定費が過大ではないか
- 一時的な資金ショートなのか、構造的な収益悪化なのか
- 経費削減より、売上拡大や資金調達を優先すべき局面ではないか
といった観点で、「経費」と「資金調達」をセットで検討することが重要です。
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法人が検討できる資金調達手段の例
経費の見直しと並行して、法人が検討できる主な資金調達手段としては、次のようなものがあります。
- 銀行融資(プロパー融資・信用保証協会付き融資など)
- ビジネスローン(無担保・スピード重視)
- ファクタリング(売掛金の早期現金化)
- 公的融資(日本政策金融公庫、自治体の制度融資 など)
- 補助金・助成金
- 出資(VC・エンジェル投資家 等)
それぞれ、調達スピード・金利・審査難易度・返済義務の有無などが異なるため、経費構造・事業の成長性・資金ニーズの性質に応じて、最適な組み合わせを選ぶ必要があります。
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経費と資金戦略を専門家と一緒に見直すメリット
経営者自身が日々の業務に追われていると、
- 実は効果の薄い広告・外注
- 担当者の惰性で続いている取引
のような惰性コストに気づきにくいことがあります。
専門家に決算書や試算表を見てもらうことで、「本当に必要な経費」と「見直しが必要な経費」を客観的に仕分けできます。
資金調達の相談は専門家に!おすすめの相談窓口や準備しておくことを紹介
「経費削減」だけでなく「資金調達」も含めたプランを組める
経費だけに着目すると、どうしても「削るかどうか」の議論になりがちですが、専門家に相談することで、
- 設備投資や人材採用の支出を増やすことで中長期の利益やキャッシュフローを改善
- 一時的な資金不足は融資やファクタリングで乗り切りつつ、構造的なコスト見直しを並行する
といった、経費と資金調達を組み合わせた戦略を組むこともできます。
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ここまで解説してきたように、経費には様々な項目があり、戦略が非常に重要になるため専門家に相談するのがよいでしょう。
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- 融資・補助金・出資など、複数の調達手段を比較したうえで提案
- 事業計画書・資金繰り表など、金融機関向けの書類作成・ブラッシュアップもサポート
といった特徴があり「どの資金調達方法が自社に合うのか分からない法人」にとって、選択肢を比較検討するのに最適です。
経費・資金繰りも含めて相談できる
Bankmeでは、単に「いくら借りたいか」だけでなく、
専門家が資金調達から経営戦略の見直しまで、
幅広くサポートします。
- 経費削減だけで乗り切るべきか
- 今は投資を優先し、融資やビジネスローンで資金を確保すべきか
といった判断に迷う法人ほど、ぜひ「Bankme」の活用を検討してみてください。
まとめ:法人の経費は「節税」だけでなく資金戦略の一部として考える
- 法人の経費は、利益や税額だけでなく、資金繰り・資金調達に直結する重要な要素
- 固定費・変動費のバランスや、削ってはいけない経費(売上に直結する投資)を意識することが大切
- 経費削減だけでなく、銀行融資・ビジネスローン・ファクタリング・補助金・出資など、資金調達手段との組み合わせで戦略を組むべき局面も多い
- 第三者の専門家に相談することで、「ムダなコスト」と「必要な投資」を整理しやすくなる
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