投稿日:2023.03.05 最終更新日:2026.08.20

売掛金の回収と遅延損害金(利息)の請求について解説

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    経理処理上のミスや取引先の資金繰り悪化など、何らかの事情で売掛金の支払いが所定の期日よりも遅れてしまうことがあります。「売掛金の回収が遅れた場合、遅延損害金を請求できるのか」が気になる方はいるのではないでしょうか。この記事では、売掛金の支払いが遅れると遅延損害金が発生するのかについて解説します。

    遅延損害金が発生するケースとは?

    遅延損害金とは、 金銭債務に関わってくるものです。金銭債務とは、支払手形や買掛金、借入金、債券など、将来に定めた期日までに他者へ所定の現金を引き渡すという契約上の義務です。

    そのため、遅延損害金は債務者が約束の期日までに所定の金額を支払えなかった場合に、その損害を償うために支払われる金銭のことを指します。

    遅延損害金が問題となる主な3つの契約例

    遅延損害金が問題となる代表的な契約として、以下のようなものがあります。

    • 売買契約
    • 金銭消費貸借契約
    • 賃貸借契約

    売買契約とは、売り主が目的物の「財産権」を買い主に移転し、買い主がその代金を支払うという取り決めのことです。

    意外に感じるかもしれませんが、私たちが日常生活で当たり前のように行っている買い物でも売買契約が成立しています。少額の買い物は現金で一括払いのケースが多く、売買契約だと言われてもなかなかピンとこないでしょうが、クレジットカードなどによる後払いやショッピングローンによる分割払いでは、その支払いが遅れると「遅延損害金」が発生します。

    消費貸借契約は「受け取った物を消費する代わりに、それと同じ種類・品質・数量の物を返すこと」を意味し、返す物を金銭に特定しているのが金銭消費貸借契約です。

    賃貸借契約は、不動産業界でよく用いられている言葉です。貸す側は目的物の使用(および目的物から発生した収益の取得)を許可する一方で、借りる側はその賃料を支払うことを約束した取り決めです。

    売掛金の遅延損害金に関する3つの注意点

    ここでは、売掛金の遅延損害金に関する3つの注意点を紹介します。

    1.取り決めがない遅延損害金も請求できる

    売掛先(モノやサービスを利用した側)は「金銭債務」を負っていることを意味しています。この「金銭債務」に対し、所定の期日までに相応の金額を支払わない場合には、「遅延損害金」が発生します。

    つまり、決済日を過ぎても売掛金が送金されないケースにおいても、「遅延損害金」が発生し、本来なら売掛先はその分を加算した金額を支払わなければならないのです。

    売掛金などの金銭債務について支払いが遅れた場合は、契約で遅延損害金について取り決めていなくても、原則として遅延損害金を請求できます。遅延損害金の利率について契約上の定めがない場合は、原則として債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率を基準に算定します。契約で利率を定めている場合は、契約内容や適用される法令を確認する必要があります。

    2020年4月1日の改正民法施行により、法定利率には変動制が導入されています。2026年4月1日から2029年3月31日までの法定利率は年3%です。法定利率は3年ごとに見直される仕組みのため、遅延損害金を計算する際は、債務者が遅滞の責任を負った時点の法定利率を確認することが重要です。

    なお、先程は売掛先の立場から「金銭債務」と表現しましたが、モノやサービスを提供した側から言えば、売掛金は「売掛債権」と呼ばれる債権の一種です。債権には支払いの期限が定められており、あらかじめ具体的な取り決めが行われていなかったとしても、期日が守られなければ、債権者には遅延損害金を請求する権利があります。

    2.厳密には「遅延損害金」と「遅延利息」は異なる

    「遅延損害金」は「遅延利息」や「延滞利息」と呼ばれることもありますが、通常の利息とは性質が異なります。利息は金銭を貸し付けたことなどの対価として支払われるのに対し、遅延損害金は支払期日までに金銭債務が履行されなかったことによる損害を賠償するものです。

    金銭消費貸借契約の返済が遅れた場合の遅延損害金を「遅延利息」や「延滞利息」と表現することもありますが、法的には通常の利息とは区別して考える必要があります。

    3.支払い遅延が長期化すると回収不能リスクが高まる

    なお、遅延損害金が1年以上発生したというだけで、自動的にその金額を元本へ組み入れられるわけではありません。民法405条は、利息の支払いが1年分以上延滞し、債権者が催告しても債務者がその利息を支払わない場合に、利息を元本に組み入れることができると定めています。

    支払いの遅延が長期化している場合は、売掛先の資金繰りが悪化している可能性もあります。遅延損害金を請求できる場合であっても、支払い遅延が続けば売掛金そのものを回収できなくなるリスクが高まるため、早めに状況を確認して対応することが重要です。

    また、売掛債権には消滅時効があります。改正民法では原則として、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早い時点で消滅時効が完成します。売掛債権では通常、支払期日の到来を債権者が把握しているため、5年が目安となるケースが一般的です。

    売掛債権の時効はいつまで?未回収リスクや債権回収を行う方法を解説

    こういった貸し倒れのリスクを避けるためには、債権管理(与信管理)を行うことが重要です。債権管理とは、売掛金を管理する業務のことです。取引先が代金を支払える状況を確認したり、債権管理表を作成したりすることで、入金漏れを防ぎます。

    また、貸し倒れリスクを軽減する方法として、ファクタリングがあります。ファクタリングは、期日前の売掛債権を売却して資金を調達する方法です。手数料がかかるため、売掛債権より金額は下がってしまうものの、貸し倒れによる損失を抑えられます。

    ファクタリングについて知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

    即日入金可能なファクタリングサービス5選|メリットや注意点、選び方のポイントを紹介

    まとめ

    売掛金などの金銭債務について支払いが遅れた場合は、契約で取り決めていなくても、原則として遅延損害金を請求できます。ただし、支払い遅延が長期化している場合は、売掛金そのものを回収できなくなるリスクにも注意が必要です。そのため、入金状況を適切に管理し、必要に応じて早めに債権回収などの対応を検討することが大切です。

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