事業資金の調達を検討していると、「プロパー融資」という言葉を目にすることがあります。
「保証付き融資と何が違うの?」「自社でもプロパー融資を受けられる?」「審査では何を見られる?」と疑問を持つ経営者も多いのではないでしょうか。
プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けず、金融機関が企業へ直接行う融資です。 信用保証協会の保証が付かないため、金融機関が自ら融資判断を行い、信用リスクを負います。
プロパー融資には、信用保証料がかからないことなどのメリットがある一方、企業の返済可能性や事業内容などを踏まえて融資可否や条件が判断されます。
本記事では、プロパー融資の仕組みや保証付き融資との違い、メリット・デメリット、審査で確認されるポイント、融資を受けるために準備したいことを解説します。
融資全般の種類や仕組みから確認したい方は、事業融資とは?法人・個人事業主が利用できる融資について解説も参考にしてください。
プロパー融資とは?
プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けず、銀行や信用金庫などの金融機関が企業へ直接行う融資です。
中小企業が金融機関から融資を受ける場合、信用保証協会の保証を付ける「保証付き融資」が利用されることがあります。保証付き融資では、事業者が返済できなくなった場合に信用保証協会が金融機関へ代位弁済を行う仕組みがあります。
一方、プロパー融資には信用保証協会による保証がありません。そのため、融資を実行するかどうかや金利・返済期間・保証人・担保などの条件は、金融機関が審査したうえで判断します。
プロパー融資の仕組み
保証付き融資では、基本的に「企業・金融機関・信用保証協会」の三者が関係します。
プロパー融資では信用保証協会が関与しないため、基本的には企業と金融機関との直接的な融資取引となります。
金融機関にとっては、企業から返済を受けられなくなった場合のリスクを自ら負うことになります。そのため、企業の財務状況だけでなく、事業内容や資金使途、返済可能性などを確認したうえで融資判断が行われます。
プロパー融資を利用する企業
プロパー融資を利用できる企業について、「黒字が何期必要」「創業から何年以上必要」といった一律の条件が決まっているわけではありません。
企業の業績や財務状況、借入状況、資金使途、返済計画などを踏まえ、金融機関ごとに融資可否や条件が判断されます。
また、決算書などの財務情報だけではなく、事業内容や将来性、経営者とのコミュニケーションなどが融資判断の材料になる場合もあります。
プロパー融資と保証付き融資の違い
プロパー融資と保証付き融資では、主に信用保証協会による保証の有無が異なります。
| 比較項目 | プロパー融資 | 保証付き融資 |
|---|---|---|
| 信用保証協会の保証 | なし | あり |
| 主な融資判断 | 金融機関 | 金融機関・信用保証協会が関与 |
| 信用保証料 | なし | 所定の保証料が必要 |
| 金融機関のリスク | 金融機関が直接負担 | 信用保証協会による保証あり |
| 主な特徴 | 金融機関との直接取引 | 信用保証制度を活用して資金調達 |
どの金融機関から融資を受けるか迷っている場合は、法人向け|融資に通りやすい金融機関はどこ?もあわせて確認してみてください。
信用保証協会とは
信用保証協会とは、中小企業・小規模事業者の資金調達を支援する公的機関です。
企業が金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が保証することで、金融機関側の信用リスクを軽減し、事業者の資金調達を支援します。
保証付き融資を利用する事業者は、原則として所定の信用保証料を負担します。
プロパー融資と保証付き融資はどちらがよい?
プロパー融資と保証付き融資は、単純にどちらが優れているとはいえません。
企業の財務状況や金融機関との取引状況、必要な金額、資金使途などによって適した方法は異なります。
保証付き融資を利用しながら金融機関との取引実績を積み、その後の資金調達方法としてプロパー融資を検討するケースもあります。
重要なのは、プロパー融資だけにこだわらず、自社の資金需要や返済能力に合った融資方法を選ぶことです。
プロパー融資を利用する4つのメリット
プロパー融資には、主に以下のメリットがあります。
1. 信用保証料がかからない
プロパー融資では信用保証協会を利用しないため、信用保証料がかかりません。
保証付き融資では所定の信用保証料を負担する必要があるため、プロパー融資ではその分の費用を抑えられます。
ただし、融資全体のコストは金利や各種条件によって異なります。保証料が不要だからといって、必ず総支払額が低くなるとは限らない点には注意しましょう。
2. 信用保証協会の保証を使わずに資金調達できる
プロパー融資は、信用保証協会の保証を利用せずに資金調達できます。
すでに保証付き融資を利用している企業にとっては、資金調達方法をプロパー融資にも広げることで、今後の資金需要に対応しやすくなる可能性があります。
3. 金融機関との直接的な取引実績を積める
プロパー融資では、金融機関が企業を審査し、直接融資を行います。
融資後も返済実績や企業の業績、金融機関への情報提供などを通じて関係が継続します。
日頃から自社の経営状況を適切に伝え、約定どおり返済していくことは、金融機関との信頼関係を築くうえでも重要です。
4. 融資条件を個別に相談できる可能性がある
プロパー融資の金額や金利、返済期間、担保・保証などの条件は、金融機関による審査を踏まえて決まります。
自社の事業内容や財務状況、資金使途などを金融機関へ説明しながら、融資条件について相談できる可能性があります。
ただし、希望する条件が必ず認められるわけではありません。
金利や資金調達にかかるコストについて詳しく知りたい場合は、資金調達の手数料・金利はどれくらい?も参考にしてください。
プロパー融資のデメリット・注意点
プロパー融資を検討する際には、メリットだけでなく注意点も理解しておきましょう。
金融機関による慎重な融資判断が行われる
プロパー融資には信用保証協会による保証がありません。
返済が困難になった場合の信用リスクを金融機関自身が負うため、企業の返済可能性や財務状況、事業内容などを踏まえて融資判断が行われます。
そのため、「申請すれば利用できる」というものではありません。
希望額どおりに融資されるとは限らない
企業が希望する融資額と、金融機関が融資可能と判断する金額が一致するとは限りません。
必要資金の根拠や資金使途、返済原資などを説明できなければ、希望額より融資額が少なくなる可能性もあります。
「できるだけ多く借りたい」と考えるのではなく、何にいくら必要なのかを明確にすることが重要です。
希望する金利・返済期間になるとは限らない
プロパー融資には一律の金利や返済期間が設定されているわけではありません。
金融機関や企業の状況、融資額、返済期間、担保・保証などの条件によって異なります。
「プロパー融資なら必ず低金利」と考えず、提示された条件を総合的に確認しましょう。
日頃から金融機関との情報共有が重要になる
金融機関が企業の事業内容や将来性を理解するためには、決算書の数字だけではなく、経営者との継続的なコミュニケーションも重要です。
業績が良いときだけではなく、経営上の変化や今後の事業計画なども適切に共有しておきましょう。
プロパー融資の審査で確認される主なポイント
プロパー融資の具体的な審査基準は金融機関によって異なります。
ただし、融資を検討する際には、企業の返済可能性を判断するためにさまざまな情報が確認されます。
売上・利益・財務状況
決算書などをもとに、売上や利益、純資産、現預金、債務状況などが確認されます。
単に「黒字か赤字か」だけではなく、業績の推移やその理由、自社の財務状況を経営者自身が説明できることも重要です。
既存借入と返済状況
すでに融資を受けている場合は、借入残高や毎月の返済額、これまでの返済状況なども重要な情報になります。
追加で借入を行っても無理なく返済できるかを考える必要があるため、既存借入を整理しておきましょう。
資金使途
金融機関へ融資を申し込む際には、借りた資金を何に使うのかを明確にすることが重要です。
たとえば、
- 仕入資金
- 人件費などの運転資金
- 設備購入
- 店舗開設
- 新規事業
- 事業拡大
など、必要な金額と用途を具体的に整理しておきましょう。
返済計画・キャッシュフロー
融資は借りた後に返済する必要があります。
そのため、「いくら借りられるか」だけでなく、事業から生み出すキャッシュフローで無理なく返済できるかを考えることが重要です。
売上や利益の見込みだけではなく、資金繰りまで含めた返済計画を用意しておきましょう。
事業の将来性
現在の決算内容だけでなく、今後どのように売上や利益を生み出していくのかも重要です。
市場環境や競合、自社の強み、今後の事業計画などを整理し、将来の収益につながる根拠を説明できるようにしておきましょう。
金融機関との取引・コミュニケーション
金融機関との関係は、融資を申し込むときだけ始まるものではありません。
日頃から決算内容や事業状況、今後の投資計画などを共有しておけば、金融機関側も企業の状況を把握しやすくなります。
特に大きな資金需要が発生してから初めて相談するのではなく、早い段階から相談しておくことが重要です。
プロパー融資を受けるために準備したい5つのこと
プロパー融資を検討する場合は、申し込み前に次のような準備をしておきましょう。
1. 決算書や試算表などの数字を整理する
まずは自社の財務状況を正確に把握します。
決算書だけでなく、直近の業績を把握できる試算表や資金繰りの状況なども整理しておくと、金融機関への説明がしやすくなります。
数字を提出するだけではなく、「なぜ売上が増減したのか」「今後どう改善するのか」まで説明できるようにしておきましょう。
2. 資金使途を明確にする
融資希望額を先に決めるのではなく、必要な資金を積み上げて算出します。
たとえば設備投資であれば見積書、仕入資金であれば発注内容など、必要額の根拠となる資料も用意しましょう。
3. 無理のない返済計画を作る
融資を受けた後の返済まで含めて資金繰りを確認します。
毎月の返済額が事業のキャッシュフローを圧迫しないか、売上が想定を下回った場合でも返済を続けられるかなどを検討しましょう。
4. 事業の強みや将来性を説明できるようにする
「今後売上が伸びます」と伝えるだけでは十分ではありません。
自社の商品・サービスの強みや市場動向、取引先、受注状況、今後の事業計画などを整理し、将来の収益につながる根拠を説明できるようにします。
5. 金融機関と継続的に情報共有する
資金が不足してから相談するのではなく、普段から金融機関とコミュニケーションを取ることも重要です。
決算後の報告や今後の設備投資、新規事業の計画などを早めに伝えておくことで、必要なタイミングで融資相談を進めやすくなります。
プロパー融資を受けるまでの流れ
一般的には、以下のような流れで融資の検討が進みます。
- 金融機関へ融資を相談する
- 融資希望額や資金使途を伝える
- 決算書などの必要資料を提出する
- 金融機関による審査を受ける
- 融資額や金利、返済期間などの条件を確認する
- 契約後、融資が実行される
必要書類や審査方法、融資実行までの期間は金融機関や企業の状況によって異なります。
資金が必要になる直前ではなく、余裕を持って相談を始めましょう。
プロパー融資を受けられない場合の選択肢
プロパー融資を希望しても、金融機関の審査結果によっては融資を受けられない場合があります。
その場合は、プロパー融資だけにこだわらず、ほかの方法も検討しましょう。
保証付き融資を検討する
信用保証協会の保証を活用した保証付き融資を検討する方法があります。
信用保証制度は、中小企業・小規模事業者の資金調達を支援するための制度です。
自社が利用できる保証制度について、金融機関や信用保証協会へ相談してみましょう。
他の金融機関へ相談する
金融機関によって融資方針や取引先企業の業種・規模などは異なります。
一つの金融機関から希望する融資を受けられなかった場合でも、別の金融機関を検討できる場合があります。
金融機関の種類や選び方については、法人向け|融資に通りやすい金融機関はどこ?も参考にしてください。
ただし、短期間にむやみに複数の金融機関へ申し込むのではなく、まず現在の融資内容や断られた理由を整理しておくことが重要です。
事業計画・返済計画を見直す
融資を受けられなかった場合は、希望額や資金使途、返済計画などを改めて確認しましょう。
必要以上の借入額になっていないか、返済原資を説明できているか、将来の売上予測に無理がないかなどを見直すことで、融資計画を改善できる可能性があります。
資金調達の専門家へ相談する
「プロパー融資を受けられる状況なのか分からない」「どの金融機関に相談すればいいのか判断できない」という場合は、資金調達に詳しい専門家へ相談する方法もあります。
Bankme(バンクミー)では、銀行出身者や税理士、融資コンサルなど、資金調達に詳しい専門家への相談先を探せます。
プロパー融資だけでなく、自社に合った融資方法や金融機関、事業計画・返済計画などについて判断しにくい場合は、専門家への相談も選択肢の一つとして検討しましょう。
プロパー融資についてよくある質問
プロパー融資と保証付き融資はどちらがいいですか?
一概にどちらがよいとはいえません。
プロパー融資には信用保証料が不要というメリットがありますが、企業の状況によっては保証付き融資の方が利用しやすい場合があります。
必要金額や資金使途、財務状況、金融機関との取引状況などを踏まえて判断しましょう。
プロパー融資の金利はどれくらいですか?
プロパー融資に一律の金利はありません。
企業の信用状況や財務内容、融資額、返済期間、担保・保証の状況などを踏まえ、金融機関が条件を判断します。
金利だけではなく、返済期間やその他の条件も含めて比較することが重要です。
創業直後でもプロパー融資を受けられますか?
創業直後の企業がプロパー融資を受けられないと一律に決まっているわけではありません。
ただし、創業直後は過去の決算や返済実績など、金融機関が判断するための実績が少ない状態です。
創業期には、日本政策金融公庫の創業向け融資や信用保証制度なども含め、自社に適した資金調達方法を検討するとよいでしょう。
プロパー融資に経営者保証や担保は必要ですか?
一律に必要とは限りません。
保証人や担保の有無を含む融資条件は、金融機関の審査や企業の状況などによって判断されます。
申込前に金融機関へ条件を確認しましょう。
プロパー融資と保証付き融資は併用できますか?
企業の状況や金融機関の判断によっては、プロパー融資と保証付き融資の双方を利用することがあります。
資金需要をすべて一つの融資方法で賄おうとせず、今後の資金需要も踏まえて金融機関へ相談しましょう。
まとめ|プロパー融資は返済可能性と金融機関との信頼関係が重要
プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けず、金融機関から直接受ける融資です。
信用保証料がかからないことや、金融機関との直接的な取引実績を積めることなどがメリットとして挙げられます。
一方、信用保証協会による保証がないため、企業の財務状況や返済可能性、資金使途、事業の将来性などを踏まえて金融機関が融資判断を行います。
プロパー融資を検討する場合は、必要な資金額と使い道を明確にし、無理のない返済計画を作ったうえで、早めに金融機関へ相談することが重要です。
また、プロパー融資だけにこだわらず、保証付き融資などほかの資金調達方法も含めて、自社に合った方法を検討しましょう。
自社だけで融資先や資金調達方法を判断するのが難しい場合は、Bankme(バンクミー)を通じて資金調達の専門家へ相談する方法もあります。



