銀行などから事業融資を受ける際、「会社の借入なのに、なぜ経営者個人の保証が必要なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
経営者保証とは、会社が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が連帯保証人となることです。
会社が融資を返済できなくなった場合には、保証契約に基づき、経営者個人が保証債務の履行を求められる可能性があります。
ただし、すべての融資で経営者保証が必要なわけではありません。現在は「経営者保証に関するガイドライン」などにより、経営者保証に過度に依存しない融資を促す取り組みも進められています。
この記事では、経営者保証の仕組みやガイドラインの3要件、保証なしで融資を受ける方法、既存保証を解除・見直す際のポイントを解説します。
融資そのものの種類から確認したい方は、事業融資とは?法人・個人事業主が利用できる融資について解説も参考にしてください。
経営者保証とは?
経営者保証は、中小企業などが金融機関から融資を受ける際に、会社の代表者などが個人として会社の債務を保証する仕組みです。
会社が予定どおり返済している間は、経営者自身が会社の代わりに返済する必要はありません。しかし、会社が返済できなくなった場合には、保証契約に基づいて経営者へ返済が求められる可能性があります。
経営者保証には企業の信用を補完して資金調達につなげる役割がある一方、経営者個人が返済リスクを負う点には注意が必要です。
経営者保証と信用保証協会の保証は違う
経営者保証と「信用保証協会による保証」は別の仕組みです。
経営者保証は経営者個人が会社の債務を保証するものです。
一方、信用保証協会の保証は、中小企業などが金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が保証を行う仕組みです。
また、信用保証協会の保証を付けない「プロパー融資」であっても、経営者保証が付く場合と付かない場合があります。
詳しくは、プロパー融資とは?保証付き融資との違いやメリット・デメリット、審査のポイントを解説をご覧ください。
「経営者保証に関するガイドライン」とは?
経営者保証を考えるうえで重要なのが、「経営者保証に関するガイドライン」です。
中小企業や経営者、金融機関が経営者保証について適切に対応するための自主的なルールで、2014年2月から適用されています。
ただし法律ではないため、一定の条件を満たせば必ず経営者保証を外せるというものではありません。
それでも、経営者保証なしでの融資や、既存保証の解除・見直しを金融機関へ相談する際の重要な考え方となります。
経営者保証なしを検討するための3要件
経営者保証に関するガイドラインでは、主に次の3点が重要とされています。
1. 法人と経営者個人の資産・経理を明確に分ける 2. 法人だけで返済できる財務基盤を整える 3. 金融機関へ適切に財務情報を開示する
それぞれ確認しましょう。
1. 法人と経営者個人を明確に分ける
会社のお金と経営者個人のお金が混在していると、金融機関が会社単独の信用力を判断しにくくなります。
たとえば、
- 会社から経営者への多額の貸付がある - 個人的な支出を会社経費で処理している - 会社と個人の間に不透明な資金移動がある
といった状態は見直しましょう。
法人と個人を明確に区分し、適切な経理を行うことが重要です。
2. 法人だけで返済できる財務基盤を整える
経営者個人の資産に頼らなくても、会社の収益や資産によって融資を返済できる状態を目指します。
単に黒字かどうかだけでなく、利益やキャッシュフロー、借入残高、毎月の返済額などを踏まえて、会社単独で継続して返済できるかを確認することが大切です。
3. 金融機関へ適切に情報開示する
金融機関が会社の状況を把握できるよう、決算書だけでなく、
- 試算表 - 資金繰り - 借入状況 - 今後の事業計画 - 業績が増減した理由
なども必要に応じて説明できるようにしておきましょう。
なお、3要件を満たせば必ず経営者保証が不要になるわけではありません。実際の融資条件は、会社の状況などを踏まえて金融機関が判断します。
経営者保証を解除・見直せる可能性があるケース
すでに経営者保証付きで融資を受けていても、金融機関へ解除や見直しを相談できる場合があります。
たとえば、
- 業績や財務内容が改善した - 借入残高が減少した - 法人と個人の資産を明確に分離した - 財務情報を定期的に開示できるようになった - 借り換えを検討している - 事業承継で経営者が交代する
といったケースです。
ただし、これらに該当すれば必ず解除できるわけではありません。
金融機関へ相談する際は、融資を受けた当時と比べて何が改善したのかを、数字や資料で説明できるようにすることが重要です。
経営者保証を求められたら確認したい3つのこと
金融機関から経営者保証を求められた場合は、次の3点を確認しましょう。
1. なぜ自社には経営者保証が必要なのか 2. 何を改善すれば保証を外せる可能性があるのか 3. 経営者保証なしの融資を検討できないか
理由を確認しておけば、今後どのような点を改善すればよいかも判断しやすくなります。
融資額や金利だけでなく、経営者保証や担保を含めて融資条件全体を見ることが大切です。
経営者保証なしで融資を受ける方法
経営者保証を付けずに資金調達できるケースもあります。
金融機関へ保証なしの融資を相談する
まずは、ガイドラインの3要件を踏まえて金融機関へ相談してみましょう。
特に、
- 法人と個人を明確に分けている - 法人として返済できる財務基盤がある - 金融機関へ適切に情報開示している
場合は、経営者保証なしで融資できるか確認する価値があります。
最終的な判断は金融機関が行います。
経営者保証を提供しない信用保証制度を検討する
一定の要件を満たす中小企業については、保証料率の上乗せなどを条件として、経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度もあります。
利用には条件があるため、自社が対象になるかどうかは金融機関や信用保証協会へ確認しましょう。
自社に合った金融機関を検討する
金融機関によって融資方針や企業の評価方法は異なります。
現在の取引金融機関だけでなく、自社の規模や事業内容に合った金融機関を検討することも選択肢です。
金融機関の種類や選び方は、法人向け|融資に通りやすい金融機関はどこ?も参考にしてください。
経営者保証を外すために今からできる5つのこと
経営者保証の見直しを目指すなら、次の5点から取り組みましょう。
1. 会社と個人のお金を分ける
役員貸付金なども確認し、会社と経営者個人の間にある不透明な資金移動を減らします。
2. 財務内容を改善する
利益だけでなく、借入残高やキャッシュフローを含めて返済能力を確認します。
3. 月次の数字を把握する
試算表や資金繰りを確認し、現在の経営状況を説明できるようにします。
4. 金融機関へ定期的に情報提供する
決算内容や設備投資、新規事業、今後の資金需要などを早めに共有しましょう。
5. 保証解除の条件を確認する
「どのような状態になれば保証を見直せる可能性があるのか」を金融機関へ確認しておくと、次回の融資や借り換えにも備えやすくなります。
事業承継時にも経営者保証を確認する
事業承継を行う際は、経営者保証の扱いも確認しましょう。
代表者が交代したからといって、後継者が当然に既存の経営者保証を引き継ぐものではありません。
事業承継を進める際には、
- 旧経営者の保証をどうするか - 後継者に新たな保証が必要か - 保証なしで融資を継続できないか
などを早めに金融機関へ相談することが大切です。
経営者保証の見直しで迷ったら専門家への相談も検討する
「自社は経営者保証なしで融資を受けられるのか」「銀行に保証解除をどう相談すればいいのか」「借り換えと同時に保証を見直したい」といった場合は、融資に詳しい専門家へ相談する方法もあります。
Bankme(バンクミー)では、銀行出身者や税理士、融資コンサルなど、資金調達に詳しい専門家への相談先を探せます。
経営者保証だけでなく、既存の借入状況や財務内容、今後の資金需要まで含めて融資計画を整理しましょう。
経営者保証についてよくある質問
経営者保証は必ず必要ですか?
必ず必要というわけではありません。
会社の財務状況やガイドラインの考え方などを踏まえ、経営者保証なしで融資を受けられる場合もあります。
ただし、保証の要否は金融機関が個別に判断します。
経営者保証は途中で解除できますか?
金融機関へ既存の保証契約の解除・見直しを相談することはできます。
ただし、自動的に解除されるわけではありません。財務状況や法人・個人の分離、情報開示などを踏まえて判断されます。
3要件を満たせば経営者保証を外せますか?
必ず外せるわけではありません。
3要件は重要な判断材料ですが、会社の状況や融資条件などを踏まえて金融機関が個別に判断します。
事業承継したら後継者も保証人になりますか?
後継者が当然に経営者保証を引き継ぐものではありません。
事業承継時には、既存保証や後継者保証の必要性について金融機関と改めて確認しましょう。
まとめ|経営者保証は見直せる可能性がある
経営者保証とは、会社が融資を返済できなくなった際に、経営者個人が保証債務を負う仕組みです。
一方で、現在は経営者保証に過度に依存しない融資を促す取り組みも進められています。
経営者保証の見直しを考えるうえでは、
- 法人と経営者個人を明確に分ける - 法人だけで返済できる財務基盤を整える - 金融機関へ適切に情報開示する
ことが重要です。
すでに経営者保証が付いている場合も、「なぜ保証が必要なのか」「何を改善すれば解除できる可能性があるのか」まで金融機関へ確認することをおすすめします。
自社だけで融資条件や保証の見直しを判断しにくい場合は、Bankme(バンクミー)を通じて資金調達の専門家へ相談する方法もあります。



