急な大口受注による仕入れ資金の増加、取引先からの入金遅延、予期せぬ設備の修繕費など、事業を運営していると急な資金需要は付きものです。
売上はあるのに資金が足りないと、「どうしよう!」と焦ってしまいますが、資金が必要になるまでの時間や自社の状況によって、選ぶべき最適な方法は異なります。
この記事では、短期で利用できる資金調達の方法を比較し、それぞれのメリット・デメリット、自社の状況に合わせた選び方までわかりやすく解説していきます。
短期の資金調達とは?
短期の資金調達とは、急な運転資金の不足やつなぎ資金の確保などを目的に、数日から数週間以内の短期間で資金を調達する方法を指します。一般的に、返済期間が1年以内の短期借入金などがこれに該当しますが、広義には借入以外の方法も含まれます。
設備投資など、数年単位での返済を前提とする長期の資金調達とは目的が異なり、あくまで一時的な資金繰りの改善のために活用されるのが特徴です。
短期で利用できる資金調達方法を比較
短期での資金調達を目指す場合、代表的な選択肢として、「ファクタリング」と「ノンバンクのビジネスローン」の2つが挙げられます。以下、メリット・デメリットに触れながら紹介します。
ファクタリング
ファクタリングは、企業が保有している売掛債権(請求書)をファクタリング会社に売却し、入金期日より前に資金化するサービスです。基本的には売掛債権の額面から、あらかじめ定めた手数料が差し引かれた金額が支払われます。
契約形態には、主に自社とファクタリング会社の2社間で行う「2社間ファクタリング」と、取引先(売掛先)の承諾を得て行う「3社間ファクタリング」があります。
主に、独立系のファクタリング専門会社のほか、銀行の子会社やノンバンク系の金融機関がサービスを提供しています。銀行融資が難しい赤字決算や税金滞納中の企業、創業間もない企業でも、売掛債権さえあれば利用できるため、迅速な資金繰り改善の手段として注目されているのです。
ファクタリングによる資金調達のメリット・デメリットは次の通りです。なお、利用するファクタリング会社や契約形態によって内容が異なる点には注意してください。
ファクタリングのメリット
- 最短即日で資金化できる場合がある
- 借入ではないため信用情報に影響しない
- 赤字決算や税金滞納中でも利用しやすい
- 担保・保証人が原則不要
ファクタリングのデメリット
- 融資の金利に比べて手数料が割高になる傾向がある
- 保有する売掛債権の金額の範囲内でしか調達できない
- 契約形態によっては取引先に債権譲渡を知られる
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ノンバンクのビジネスローン
ノンバンクのビジネスローンとは、預金業務を行わない銀行以外の金融機関、いわゆるノンバンクが提供する事業者向けの融資商品です。あらかじめ定めた金利を支払いながら、一定の期間の中で資金を返済していきます。
具体的には、次のような金融機関がノンバンクに該当します。
- 消費者金融会社
- 信販会社(クレジットカード会社など)
- ビジネスローン専門の金融会社
銀行に比べて審査がスピーディーで柔軟なため、急な資金需要がある場合や、事業実績が乏しく銀行融資の審査通過が難しい場合の有力な選択肢となります。
ノンバンクのビジネスローンによる資金調達のメリット・デメリットは次の通りです。なお、借り入れる金融機関や商品によって条件は異なります。
ノンバンクのビジネスローンのメリット
- 銀行融資に比べて審査がスピーディーで柔軟
- 創業まもない時期でも利用できる可能性がある
- 資金使途の自由度が高い商品が多い
ノンバンクのビジネスローンのデメリット
- 銀行融資に比べて金利が割高になる傾向がある
- 借入のため信用情報に記録が残る
- 財務状況(貸借対照表)が悪化する
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【目的・状況別】短期資金調達の選び方
ファクタリングとビジネスローンのどちらを選ぶべきかは、以下の4つのポイントを基準に、自社の状況と照らし合わせて判断しましょう。
- スピード:どれくらい早く資金が必要か?(即日か、数日の余裕があるか)
- コスト:手数料や金利をどれだけ許容できるか?
- 信用情報への影響:今後の銀行融資などを考え、信用情報に履歴を残したくないか?
- 審査のポイント:自社の信用力と、取引先の信用力のどちらに強みがあるか
とにかくスピード最優先なら、ファクタリング
「明日までに支払いをしなければならない」といった緊急のケースでは、最短即日での資金化が可能なファクタリングが最適です。
信用情報に傷をつけたくないなら、ファクタリング
今後、銀行からの大型融資を計画しているなど、信用情報をクリーンに保ちたい場合は、借入履歴が残らないファクタリングが適しています。赤字決算などで自社の信用力に不安がある場合も同様です。
少し時間に余裕があるなら、ノンバンクのビジネスローン
数日程度の余裕があり、手数料コストを少しでも抑えたい場合や、売掛金以上の資金が必要な場合は、ノンバンクのビジネスローンを検討することをおすすめします。
短期の資金調達を成功させるためのポイント
いざというときにスムーズに資金調達を行うために、以下の3点を意識しておきましょう。
必要書類を事前にデータで用意しておく
必要書類を事前にデータで用意しておきましょう。申し込みには、本人確認書類、決算書(または確定申告書)、事業実態を確認する書類(請求書、契約書、通帳のコピーなど)が求められます。
事前にスキャンしてPDFなどでデータ化しておくと、Web申し込みを迅速に進めることができます。
午前中のできるだけ早い時間に申し込む
即日での資金調達を希望するのであれば、審査や手続きの時間を考慮し、午前中の早い時間帯に申し込みを完了させておきましょう。
午後になると、審査が翌営業日に持ち越されることがあります。
希望額は必要な最低限の金額にする
必要以上に大きな金額を希望すると、審査が慎重になり、時間がかかったり、否決されたりするリスクが高まります。
「これだけあれば乗り切れる」という最低限の金額を算出し、申し込むようにしましょう。
短期の資金調達を利用する際の注意点
短期の資金調達を利用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 金利や手数料が高い
- 繰り返しの利用は資金繰りを悪化させるリスクがある
- 将来的な融資に影響する可能性がある
- 悪徳業者からは利用しない
金利や手数料が高い傾向にある
短期の資金調達は利便性の高さと引き換えに、長期の銀行融資などに比べてコストが割高です。あくまで一時的なつなぎ資金として利用し、恒常的な利用は避けましょう。
もし資金繰りの計画を立てる時間に余裕がある場合は、より金利の低い長期の資金調達を検討するのが賢明です。
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繰り返しの利用は資金繰りを悪化させるリスクがある
短期の資金調達は、あくまで一時しのぎの緊急手段と考えておく必要があります。「なぜ資金が不足しているのか」という根本的な原因と向き合った上で、計画的に利用することが大切です。
手軽だからと何度も繰り返し利用してしまうと、返済や手数料の負担が増し、自転車操業に陥る可能性があります。
また、短期の資金調達に頼ることで、売上不振や利益率の低さなどの経営課題の改善が後回しになってしまうかもしれません。短期の資金調達を利用する際は、同時に資金繰りが悪化した原因を分析し、経営改善の計画も立てておきましょう。
将来的な融資に影響する可能性がある
ノンバンクのビジネスローンは、借入履歴が将来の融資審査に影響する可能性があります。ノンバンクから借りただけでは、必ずしもネガティブな評価につながるわけではありません。
しかし、多額の借入がある場合や、短期の借入を繰り返している状況は、銀行から「資金繰りが厳しいのではないか」「計画性に乏しい」と見なされ、審査で不利に働く可能性が高まります。
悪徳業者も一定数存在する
ファクタリング業者や貸金業者の中には、法外な手数料を請求したり、違法な取り立てを行ったりする悪徳業者が存在します。
契約前には、会社の登記情報や所在地、手数料体系が明確であるかなどを必ず確認しましょう。
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短期の資金調達方法の比較・検討には「Bankme」がおすすめ
「ファクタリングとビジネスローン、結局どちらが良いのか判断できない」
「自社に最適な条件のサービスを、一つ一つ探す時間がない」
このような悩みをお持ちの経営者様におすすめなのが、資金調達支援サービス「Bankme」です。特徴は以下のとおりです。
元金融機関出身者などのプロに、一括で相談できる
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融資だけでなく、ファクタリングも含めた最適な提案を受けられる
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短期の資金調達に関するよくある質問
以下、短期の資金調達に関するよくある質問に答えていきます。
赤字決算や税金滞納でも、短期の資金調達は可能ですか?
ファクタリングは、審査で重視されるのが売掛先の信用力であるため、自社が赤字決算や税金滞納の状態でも利用できるケースが多いです。ノンバンクのビジネスローンも、銀行よりは柔軟な審査が期待できます。
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創業したばかりで事業実績がなくても、利用できますか?
創業期で事業実績が乏しい場合、融資の審査は厳しくなる傾向がありますが、ファクタリングであれば、売掛債権さえあれば事業実績を問われずに利用できます。スタートアップ企業の初期の資金繰りにおいても有効な手段です。
短期の資金調達で注意すべきことは?
短期の資金調達で注意すべきことは以下の3つです。
- 金利や手数料が割高であるため、あくまで一時的な利用に留める
- 安易な繰り返し利用は資金繰りを悪化させるため、経営の根本的な見直しも並行して行う
- 法外な手数料を請求する悪徳業者を避け、信頼できる会社を選ぶ
短期の資金調達はメリット・デメリットを理解して利用しましょう
短期の資金調達は、自社の状況に合わせて最適な手段を選ぶことが重要です。スピードと信用情報を重視するならファクタリング、売掛金以上のまとまった資金が必要ならノンバンクのビジネスローンが有力な選択肢となります。
どちらの方法にもメリット・デメリットがあるため、その特性を正しく理解し、計画的に活用しましょう。
どの資金調達にすべきか迷った際は、一人で抱え込まず、元金融機関出身者などのプロが揃うBankmeにご相談ください。